マイクロソフトが社員に勧める“ドッグフード”栄養学

CNET News.com Staff2003年07月24日 10時00分

 米Microsoftには、技術向上のために社員に勧めるメニューがある──「ドッグフード」だ。

 マイクロソフトには、「自社のドッグフードを食べる」という言い回しで知られる独特の哲学がある。自社で開発したソフトのベータ版を実際に社内に導入し、評価するのだ。

 この「ドッグフード」というコンセプトが今、Microsoftにおいてかつてないほど重要になると同時に、難しさも抱えている。米ワシントン州レッドモンド市に本社を置くMicrosoftは、これほど多くのエンタープライズソフトウェアを一度にテストしたことはなかったと言っていい。現在テストが行われているのは、Exchange Server 2003、Office 2003、Real-Time Communications Server、SharePoint Portal Server 2003、Windows Messenger 5などだ。

 CNET News.comでは、Microsoftの最高情報責任者(CIO)であるRick Devenuti氏にインタビューを行い、これらの製品テストが同社に与える影響について聞いてみた。

---この「ドッグフード」というコンセプトはどこから生まれたのですか。

 自分たちの製品のリリース前に、研究所ではできない、より実際的なテストを行うことで、製品がどのように機能するのかを知っておきたいという思いが原点となっています。

---現在、多くのソフトのベータテストが行われていますね。

 なかなか面白い時期と言えますね。先日発売したばかりのWindows Server 2003は、我々がコードを書き始めてから約2年をかけて積み上げた技術の成果です。また、Exchangeの新バージョンであるTitaniumと、Officeの新バージョンの発売も目前に控えています。現在、我が社では1台を除くすべてのExchange ServerでTitaniumを導入しています。また、約4万の顧客が最新バージョンのOfficeを導入しています。

---新製品に移行することで、どのようなコストメリットが得られるのでしょうか。

 コストメリットについてまだ正確な数値は出ていませんが、シナリオを紹介しましょう。アップグレードが必要なサーバが減るため、コストは大幅に削減されます。必要な帯域幅が減るだけでなく、サーバのメンテナンスやバックアップの手間もなくなります。Exchange Serverが世界的に展開されていることを考えると、そのコスト効果は数十万ドルにのぼると予想されます。Exchange Serverを導入すれば、1つのサーバから他のサーバを全てリモートで監視できるため、さらなる連携の道が開かれるのです。

---確かにOffice 2003のようなプログラムをリリース前にテストすることには、多くのメリットがありますね。では、デメリットについてはいかがでしょう。

 ベータテストをする際には、製品をいつ、どのようにテストするかという判断が最も重要になります。テストを行う理由や必要性について、経営幹部が何度も話し合った後、初めてテストに乗り出すのです。新バージョンではなくベータ版ソフトを導入する理由とは何か、といったことです。経営スタッフからのサポートは大変充実しています。しかし実際に職場でソフトを導入し、仕事を進める中でうまく機能しなかった場合などを考えると、サポートが社員一人一人に行き渡るとは断言できません。マイクロソフトは300億ドル規模の企業ですから。

---全社で一度にベータテストを行うことはないと思いますが、どのような戦略に基づいてテストを行っているのですか?

 ベータテストは、しっかりとした基準に従って行われます。我々は約400名のユーザーによる「ドッグフード環境」を持っており、頻繁にベータテストを行っています。ここでは、新しいプログラムの準備が整い次第テストを行っています。この時点でベータ版を導入するのは、プログラミングを手がける開発チームだけ。トラブルが起きても、それは言ってみれば自業自得というわけです。

 テスト段階で一定の品質を満たしたソフトは、約3000名のユーザーによるWinDeployというテスト環境へと移されます。導入前のテストを行った後、ユーザーベースでもう一度テストを行います。WinDeployのテストで十分な動作安定性を確認して、初めてオフィス内で導入するのです。どの部署でテストを行うかは、ソフトの種類によって異なります。Officeであれば、他のビジネスアプリケーションとどのように連携するか確認する必要があります。Office 2003ではベータ版2を出してからようやく範囲を拡大し、テストユーザーの数を1万人から4万人へと増やしました。

---今、Microsoftではどんな技術的変化が起きていますか。

 現在行われているテストはすべて、技術ではなくシナリオに基づいています。我々がドッグフードプログラムを開始した時には、技術がうまく機能するか確認するためにテストを行っていました。しかし今では、その製品があらかじめ定義されたシナリオどおりに、他の製品群と合わせて機能するかどうかをチェックしています。

---現在テストを行っている主要な製品とは何ですか。

 技術的には、タブレットPCが最も主要な製品と言えます。すでに我が社では、無線LANに移行しています。ペーパーレスな会議を行ってさらなる生産性の向上を模索すると共に、ドキュメントの保存場所としてSTS(SharePoint Team Services)を導入し、会議におけるコラボレーションと効率性の向上を図っています。IT業界の中でも、我々は社員(IT業界ではなく、Microsoftの社員)の生産性を高めるという点において、先端を走っていると言えるでしょう。そこにおけるタブレットPCの役割は重要です。実際、我々はいずれ社内の標準リストの中から薄型ノートPCを外し、タブレットPCに置き換えます。大型マルチメディア対応のノートPCは残すと思いますが、薄型ノートと比較した場合に、社員にはタブレットPCの方を手にとって欲しいですね。

---Windows Server 2003を発表した時、Steve Ballmer氏(Microsoft最高経営責任者)は、SharePoint Servicesと約1万2000のチームサイトがもたらす恩恵について強調しました。これだけの数になるということは、管理が大変ではありませんか。

 SharePointが3年ほど前に発表された当時は、管理のしやすさが問題でした。しかし、現在は状況が異なります。我々が開発チームに対して求めたことは、SharePointでもハードドライブに保存するのと同じくらい簡単に保存ができることです。1ギガバイトあたりで比較すれば、ファイル共有と同じくらい安価に利用できるのですから。

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