矢野経済研究所は2月12日、2002年度のインターネットワーキング機器出荷動向の調査結果を発表した。調査は2002年11月〜2003年1月に実施され、対象は国内主要ベンダー37社、対象製品はLAN及びWAN関連製品。「全体に対するカバー率は90%」(同研究所)という。
37社の実績積み上げによる2002年度出荷高は前年比で6%減の4552億円となり、同研究所が調査を開始してから初めて減少に転じた。不振の要因は経済環境の悪化を背景とした通信事業者の設備投資と企業のIT投資の抑制である。
出荷高の構成は、LAN関連機器が前年度比3%減の4416億円、WAN関連機器が同54%減の136億円。2003年度の計画は、LAN関連機器が同12%増の4924億円、WAN関連機器が同48%減の74億円。つまりWAN関連機器は2002年度に半減し、2003年度もさらに半減する見通しである。
LAN関連機器の2002年度については、ルーター、特にハイエンド以下の落ち込みが目立った。LANスイッチは微増となる見通し。無線LAN、ブロードバンドルーターはネットワークに対するニーズの変化を背景に、それぞれ40%増、70%増と大きく伸びている。xDSL関連機器は単価の下落が数量増加の足を引っぱり、約3%増と伸び悩んだ。
需要分野別では、官公庁・公的機関向け出荷がe-Japan構想による地方自治体・学校でのネットワーク構築やブロードバンド化により6%増、パーソナルは4%増とブロードバンド化がけん引した。一方、通信キャリア・ISP向けが、通信キャリアの業績悪化による設備投資抑制を背景に7%減、一般企業向けがIT投資の冷え込みにより11%減となった。
同研究所の予想に基づけば、今後はIP電話の普及に伴い、通信キャリアの設備投資はIPを中心としたネットワーク機器にシフトする見通し。ブロードバンド通信の普及と同時にコンテンツ配信などのサービスが本格化すれば、通信キャリア/ISPの設備投資やパーソナル需要の回復もありえるという。一般企業のIT投資については厳しい状況が続くとみている。
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