Ripplexは4月25日、アドレス管理ソフト「Ripplex」の最新版となるバージョン1.1を公開した。
Ripplexはメールアドレスや電話番号、インスタントメッセンジャーのアカウントなど、複数のアカウントを管理できるソフトウェアだ。メールクライアントなどのアカウントを一括でインポートできるほか、複数PCでも情報の同期が可能だ。利用は無料。
このソフトの最大の特徴はソフトウェアに登録されているユーザー同士の情報を自動で同期するという点にある。
たとえば、あるユーザー(Aとする)が自分のRipplex上に友人(Bとする)のメールアドレスなどを登録するとしよう。その際、BがRipplexを使用しており、メールアドレスなどを登録していれば、自動で各種のアカウント情報を補完してくれるのだ。
ユーザー間でデータを補完するためには、Ripplexのサーバを経由して情報をやりとりすることになるが、Ripplexでは、第三者はおろか、同社内でも情報が閲覧できない形式でデータのマッチングを行う。
これは同社が開発した「PMM(Profile Matrix Matching)」と呼ぶ技術によるものだ。Ripplexのサーバには、メールアカウントをはじめとした個人情報を一切登録せず、ユーザーの情報と検索対象となる情報を組み合わせたハッシュ値のみが登録される。
前述のケースであればAはAのメールアドレスとBのメールアドレス、AのメールアドレスとBのWindows live メッセンジャーのアカウント、AのメールアドレスとBのmixiアカウント……といったように、両者のアカウント情報のハッシュ値をマトリクス形式でサーバに登録するのだ。
そのため、サーバ上でAが登録した「Aのメールアドレス+Bのメールアドレス」というハッシュ値と、Bが登録した「Bのメールアドレス+Aのメールアドレス」というハッシュ値がマッチングされる。このようにマッチングされた時点で、サーバから同期を実行するアナウンスがなされる。ここでユーザーが公開するアカウントを設定すると、情報が暗号化され、PtoP方式で同期される。また、ユーザーグループを作成して、グループ単位でどのアカウントを公開するかという指定もできる。
この仕組みにより、Ripplexは、お互いを知っているユーザー同士てないと情報を検索することができず、また検索の対象となるためにアカウント情報や個人情報を公開する必要がない。また、複数の情報をもとにマッチングするため、同姓同名やアカウント名だけで判断がつかないユーザーなどでの重複ヒットがきわめて少なくなるという。
さらに最新版となるバージョン1.1ではSkypeおよびTwitterとの連携を実現した。 ユーザーが自身のSkypeやTwitterのアカウント情報をRipplexに登録すれば、各サービスのコンタクトリストがRipplex内に自動的にインポートされる。そのほか「つぶやき」の機能を追加。Skypeのステータスの変更およびTwitterへの投稿がRipplex上で行えるようになった。
今回の連携について、Ripplex代表取締役の直野典彦氏は、「2007年末から今回発表したバージョンの仕様を詰めてきた。その中でAPIに関する考え方を重視していた。オープンな姿勢や実績という観点で2社と連携することになったのはなるべくしてなった組み合わせ」と語る。
Skype日本オフィスジェネラルマネージャーの岩田真一氏はRipplexとの連携により、「ユーザーの拡大、特にアクティブユーザーが拡大することを期待している」と語る。
また、Skypeではハードウェアやソフトウェアの認定制度をワールドワイドで実施しており、認定されたハードやソフトについてはプロモーションなどで協力を行っている。Ripplexは日本製ソフトウェアでの認定第1号となるため、「この認定制度の認知も進めていきたい」(岩田氏)という。
日本語版サービスを開始したばかりのTwitterだが、同社とともに日本語化を進めてきたDGインキュベーション投資・事業開発本部マネージャーの枝洋樹氏は「Twitterは日本語版を開始したばかり。しかし新規ユーザーがひとりぼっちでは楽しみがわからない。しかしSkypeなどほかのサービスでコンタクトのあるユーザーとつながれば利用を活性化できる」と期待を寄せる。
また、TwitterのヘビーユーザーはSkypeを併用することも多いため、コンタクトリストが統合されることは「新規ユーザー、ヘビーユーザーともにメリットがある」と語った。
OpenSocialとも似た形で情報を共有するRipplexだが、直野氏は「知らない人とも誰とでもつながるという単純な意味での『ソーシャルアドレス帳』ではない」と説明する。PMMによる検索によって、本当に知っているユーザー同士の情報共有を行うのが同ソフトの目的だ。
同社は今後もソフトウェアを無償で提供する予定だ。今後はさらに連携するサービスを追加していき、アドレス帳を軸としたアカウントサービスのプラットフォーム構築を目指す。
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