国内ストレージソフト市場、プライベートクラウドへの機運高揚が需要を後押し--IDC調査

富永恭子(ロビンソン)2010年11月10日 19時13分

 IDC Japanは11月10日、国内ストレージソフトウェア市場の2010年上半期売上実績と、2014年までの予測を発表した。これによると、2010年上半期(1〜6月)の国内ストレージソフトウェア売上は344億2300万円、前年同期比で1.5%増加した。IDCでは国内ストレージソフトウェア市場の2010年通年の売上見込みを685億500万円、2009年から2014年までの年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を3.4%、2014年の市場規模を794億円と予測している。

 ストレージソフトウェア製品分野で、回復が最も顕著なのはデータ保護およびリカバリソフトウェアだった。2010年上半期の前年同期比成長率は5.1%だったが、これはリーマンショック以前の国内市場成長率と同レベルだとIDCでは説明している。また、国内市場の一部では、不況期に先送りにされたデータ保護の需要が顕在化しているとみられる動きもあるという。一方でストレージ管理系ソフトウェア市場は、全般的に低調なまま推移している。IDCでは、サーバ仮想化技術の導入によりサーバ統合が進んだことで、ストレージ運用にもシステム横断的な最適化、効率管理を求める需要は存在するはずだが、これまでのところ、大手ベンダーの多くはサーバ仮想化への動きをストレージ管理系ソフトウェアの売上に結びつけることに成功していないと分析している。

 もうひとつの国内IT市場の傾向として、企業がクラウドサービスを利用する動きが活発となってきているが、国内のサービスプロバイダーは自社開発のストレージ管理ソフトウェアで運用を行う傾向が強く、ストレージソフトウェアの販売促進には寄与していないという。しかしIDCでは、プライベートクラウドを構築する場合や、パブリッククラウドとオンプレミス(自社運用)システムとの効率的な連携を目指す場合、社内システム環境の再整備が行われ、ストレージインフラにはこれまでより高い可用性、拡張性、信頼性が求められると考えている。そのため、個々のアプリケーションごとに管理されていたストレージ運用の非効率性が見直され、全体最適を実現するために多種のストレージソフトウェアが導入されることが見込まれるとしている。

 IDC Japan、ストレージシステムズリサーチマネージャーの鈴木康介氏は「サーバに仮想化技術が取り入れられることでインフラ運用の簡素化やビジネスニーズへの迅速な対応が可能となってきた。ストレージの運用もその変化に対応して進化させるには、ソフトウェアの導入による運用自動化、効率化が欠かせない。また、多くの企業においてプライベートクラウド構築への機運が高まっていることも様々なストレージソフトウェアの需要につながる。ただし、サーバのコスト削減が進む中でストレージへの支出が突出することを避けたいというユーザーの意向もあり、限定的な予算の中で最大限の効果を発揮する製品が厳しく選別されることになるだろう」とコメントしている。

2005〜2014年、国内ストレージソフトウェア市場売上実績および予測 2005〜2014年、国内ストレージソフトウェア市場売上実績および予測(出典:IDC Japan)

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