サイバーエージェント増収増益--Amebaと広告の伸びに藤田社長「不安要素なし」「しばらく好調続く」

鳴海淳義(編集部)2010年11月05日 13時29分

 サイバーエージェントは11月4日、2010年9月期通期連結決算(2009年10月〜2010年9月)を発表した。連結業績は売上高が966億5000万円(持分法子会社に移行したネットプライスドットコムを除く前年同期実績比19.7%増)、営業利益が93億3700万円(同122%増)、純利益が54億9300万円(同365.1%増)だった。

 事業別ではブログなどのインターネットサービス群を提供するAmeba事業が前期比27億円の増益で24億8000万円の営業利益を出した。会員数も順調に伸びており、前期比1.7倍の1123万人となっている。Amebaの増益は連結決算の営業利益率の向上につながった。2009年9月期は5.2%だったのが、2010年9月期は9.7%まで伸びている。

 柱である広告代理事業は売上高515億円で前期比21%増。営業利益率も前期の1.4%から4.1%に上昇した。モバゲータウンやグリーなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)向けにゲームを提供するソーシャルアプリケーションプロバイダ(SAP)事業は「国内ナンバーワンの規模に育ってきた」と代表取締役社長CEOの藤田晋氏も自信を見せるように、第4四半期の売上高は第3四半期の2倍に相当する12億円となった。

 93億3700万円の営業利益のうちわけは、FX事業が38億4100万円、広告代理事業とSAP事業などを含む既存事業が42億2200万円、Ameba事業が24億8000万円。常務取締役の中山豪氏は、「インターネット事業者として1つの事業に依存しない充実した内容になった」と胸を張る。「M&Aに依存せず、内製で継続的に伸ばしてきた結果」だという。

 増収増益の決算を迎え、従業員には営業利益の10%近い合計8億6400万円もの決算賞与が支給された。藤田氏は、「我々は文化的に大型M&Aが苦手で、やらない方針。大型設備投資も上場以降やっていない。土地や建物、資材に投資することもない。だから競争力は人材にある。そこに正しい将来への投資があると考えている。今後も良い決算が出たときには従業員に支給していきたい」と語った。

 今後は特にエンジニアの採用に力を入れる方針。中長期の企業の競争力の源泉になる最優先事項とし、2010年から3年で300人を採用する計画だ。2010年は40人、2011年は90人、2012年は170人の獲得を目指している。

 2011年9月期業績見通しは売上高1100億円、営業利益110億円を見込む。事業ごとの営業利益では、FX事業がレバレッジ規制の影響により16億円まで落ち込むと予想されるが、広告代理事業とSAP事業などを合わせた既存事業が58億円、Ameba事業が40億円と成長を続ける見込み。特にAmeba事業は2010年9月期の利益24億円と2011年の利益40億円で、早くもこれまでの累積損失約60億円を回収できる見通しだ。

 藤田氏は「FX事業への依存がかなり減り、広告代理事業、Ameba事業などが伸びて利益の構造が良くなってきた。不安要素が少ない状態にある。今後もしばらくは好調が続く見通し」と総括した。

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