シリコンバレーのベンチャーキャピタリストを対象に調べた信頼感指数が、1年あまり続いた上昇から下降に転じた。このことから判断すると、今後6〜18カ月の起業環境について、ベンチャーキャピタリストは以前ほど楽観していないようだ。
「Silicon Valley Venture Capitalist Confidence Index」(PDFファイル)は第2四半期、シリコンバレーの32のベンチャーキャピタリストを対象に6月に行われた調査に基づく5ポイントを最高とする評価で、3.28ポイントに落ち込んだ(ポイントが大きいほど信頼感が高い)。第1四半期の3.65ポイントから下落したことで、2008年第4四半期に底を打ってからの5期連続上昇にピリオドが打たれた。
同指数によると、信頼感が低下したのは、米国でもその他の国々でも経済の回復がなかなか進まず、ベンチャーキャピタル業界を規制する動きについても先行きに不透明感のあることが懸念されているためだという。
調査に協力したベンチャーキャピタリストの一部は、なおも低迷する経済が投資の勢いをそぐおそれがあると見ており、あるベンチャーキャピタリストは、業界が長期投資の判断をする際に、短期および中期の不安材料をいっそう重視するようになってきていると指摘した。2人のベンチャーキャピタリストは、欧州と中国の脆弱な経済に対する不安が高まっており、今後1年間にビジネスチャンスに与える影響を見定めるため、両市場を注視する必要があるとも述べた。
調査対象となったベンチャーキャピタリストの中には、信頼感が低下した理由としてベンチャービジネス自体の変化を挙げた例もある。あるベンチャーキャピタリストは、起業家が資金を必要とするまさにそのタイミングでベンチャーキャピタルを利用することが、ビジネスの変化によって難しくなると述べた。この人物ともう1人のベンチャーキャピタリストは、長期投資に対する課税の大幅引き上げを求める法案が連邦議会で審議されていることに懸念を表明している。あるベンチャーキャピタリストは、この「carried interest tax」を、「米国のベンチャーキャピタル業界にとって、また米国の革新および経済成長にとっての災厄」と呼んでいる。
経済と業界への懸念が高まるなか、依然として楽観的で、困難な環境にもかかわらずチャンスや新しいビジネスが生まれると考えているベンチャーキャピタリストもいる。
全体的に見て、第2四半期に見られる信頼感の低下が第3四半期のIPO市場の低迷につながるのではないか、と報告書は述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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