日本オラクルは7月28日、企業向けコンテンツ管理(ECM)製品群の新版となる「Oracle Enterprise Content Management(ECM) Suite 11g」の提供を開始したことを発表した。価格はプロセッサライセンスとなっており、1ライセンス1968万7500円となっている。
オラクルのミドルウェア「Oracle Fusion Middleware」を構成するECM Suite 11gは、中核となる「Oracle Universal Content Management(UCM) 11g」、コンテンツの証拠保全や証拠開示能力などを制御する「Oracle Universal Records Management(URM) 11g」、紙文書の電子化などが主な目的の「Oracle Imaging and Process Management(I/PM) 11g」、配布されたコンテンツの利用を制御する「Oracle Information Rights Management(IRM) 11g」で構成される。それぞれ単体でも導入できるが、価格体系はプロセッサライセンスとネームドユーザーライセンスの2形態で提供される。
ECM Suite 11gは、コンテンツリポジトリと業務プロセス、デスクトップツールと統合することで画像やウェブページ、電子文書といった文書管理とレコード管理といった機能を一元的に提供するという。通信や金融、ヘルスケア、製造、小売りなどの幅広い業種で活用できるとしており、企業内の業務プロセスに組み込むことで、業務効率を向上させるとともに、コンテンツ管理のガバナンスを強化できると説明する。
中核であるUCM 11gは、電子文書や画像、動画、ウェブページなどをデータベース(DB)で管理し、唯一の信頼できるソースとして管理するとともに、バックアップや冗長化に関連するコストを削減できるという。主にそれぞれのコンテンツの原本を管理し、蓄積されたコンテンツの整理分類、変換、アクセス管理などを担うことになる。
またUCM 11gではデスクトップ環境との統合が図られている。Microsoft Officeとの融合では、OfficeからUCM上のファイルを検索、開けるようになっているとともに、Officeから直接UCMにファイルを登録することができる。また、UCM上のファイルを直接編集中のファイルに取り込んだり、UCM上で管理されるファイルへのリンクを挿入できるようになっている。
オラクルの上村靜史氏(Fusion Middleware事業統括本部ビジネス推進本部シニアマネージャー)によると「使い慣れたOfficeとの親和性で、新たにトレーニングする必要がなく、すぐに使い始めることができる」とそのメリットを強調している。デスクトップ環境の統合という点では、UCM 11gはWindowsに標準で搭載されるファイル管理機能「Explorer」からウェブブラウザに近い操作性を提供しており、誰でもUCMのコンテンツ管理機能を簡単に利用できると説明している。
ECM Suite 11gを構成するソフトのひとつであるURM 11gは、「Office SharePoint Server」やファイルサーバ、紙として保存されているコンテンツへのアクセスや変更などの記録、制御を行い、保存期間を超えたコンテンツの自動廃棄、移行の指示などを行い、企業が保有するコンテンツの証拠保全や証拠発見、コンテンツを抱えることによるリスクの削減を実現できるとしている。
こうした機能からURM 11gは、契約書など、内部統制などを中心とする法令が定める保存に対応できるとともに、米国でのHIPPA(医療保険の携行性と責任に関する法律)などの法律にも対応できるとしている。上村氏によればUCM 11gは「米国で求められているe-ディスカバリー(電子証拠開示支援)に対応できる」と説明している。
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