SAPジャパンは6月8日、連結決算開示の関連業務を効率化する「SAP BusinessObjects Financial Consolidation」の導入支援ツールとして国際会計基準(IFRS)対応用スターターキットの日本語版の無償提供を開始した。
BusinessObjects Financial Consolidationは、SAPジャパンの企業業績管理アプリケーション群「SAP BusinessObjects EPM」に含まれ、主に制度連結や管理連結を一元管理するためのアプリケーション。BusinessObjects Financial Consolidationは、連結定義を用途にあわせて複数設定することで、IFRSと日本基準(J-GAAP)の両方の会計基準で財務諸表を作成できる。同アプリケーションを活用すれば、日本国内の子会社がJ-GAAPで作成された単体会計と海外子会社がIFRSで作成された単体会計の両方を組み替えることで、親会社でIFRSベースの連結財務諸表作成とJ-GAAPの連結財務諸表を作成できる。ひとつのシステムで複数の会計基準を実行できる仕組みとなっていることから、会計基準間の比較レポートを作成することもできる。
今回提供されたスターターキットは、BusinessObjects Financial Consolidation上で基本的なパラメーターが事前設定されたソフトウェアツールであり、日本語で利用できる。マニュアルなどのドキュメントも一緒に提供される。SAPジャパンの岩本浩央氏(ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部シニアマネージャー)は、スターターキットを活用すれば「10開発しなければならないところを8割削減できる」と、そのメリットを強調している。スターターキットで導入が迅速に展開できるようになるとともに、子会社から収集されたデータの一つ一つに監査証跡を取れることから、内部統制をより効率よく展開できるという。スターターキットは、各企業独自にパラメータを設定することで連結範囲を確定させられ、連結会社間取引の相殺消去、引当金の配当金の消去、資産売却損益の消去、為替換算調整勘定の計算などといったことを自動的に実行することができる。
SAPジャパンは同日、あわせてシステムインテグレーター(SIer)などパートナー企業向けに「SAP BusinessObjects Financial Consolidationテンプレート」の提供も始めたことを発表している。今回のテンプレートは、パートナー企業が各業界ごとに蓄積している連結決算用のノウハウを事前設定のソフトウェアツールとしてBusinessObjects Financial Consolidationに組み込んだもの。サービスやドキュメントとまとめてパートナー企業が独自にパッケージとして提供することもできる。今回のテンプレートを活用すれば、パートナー企業は「各社の特色を盛り込むことで、他社との優位性を出しやすくなる。実装プロセスが標準化されていることから、限られたリソースで多くの案件をこなすことができる」(岩本氏)というメリットを得られるとしている。また、「SAPジャパンがパートナー企業と一緒に積極的にプロモーションすることで、より多くの企業にリーチできる」とも説明している。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」