IDC Japanは5月13日、3月に実施した国内中堅中小企業ユーザー調査における地域別の分析結果と、国内中堅中小企業IT市場の地域別IT投資予測を発表した。
これによれば、2010年は各地域共にIT投資はマイナス成長にとどまるが、2011年以降、北海道および東北地方、関東地方では比較的堅調に回復すると予測している。地域ごとにIT投資の回復に差が生じているのは、それぞれの地域の産業構造、経済環境によるものとIDCはみている。その一方で、各地域で経営課題として、人材や体制強化に関する項目が上位に挙がっているという。
同調査の結果では、各地域で2010年度のIT投資予算が2009年度と比較して「減少する」と回答した企業の割合が「増加する」と回答した企業の割合を上回っているものの、2009年2月の前回調査時と比較すると、北陸甲信越地方、九州沖縄地方を除いて改善した。また、2011年度のIT投資予算については、北海道東北地方、関東地方、近畿地方、中国四国地方で、2010年度から「増加する」と回答した企業の割合が「減少する」と回答した企業の割合を上回った。景気低迷の影響で、依然として各地域のIT投資は抑制傾向にあるが、一部の地域を除いて徐々にIT投資再開を検討する企業が増加しているとIDCではみている。
一方、2009年の地域別国内中堅中小企業IT市場の投資規模は、関東地方が最も大きく1兆3689億円で、国内中堅中小企業IT市場全体の39.8%を占めた。次いで近畿地方の5735億円で16.4%、東海地方の3973億円で11.4%となった。2010年は各地域共にマイナス成長にとどまるが、北海道東北地方、関東地方では比較的マイナス幅が小さいとIDCではみている。また2011年以降も北海道東北地方、関東地方では比較的高い成長率でIT投資が回復するが、北陸甲信越地方、中国四国地方、九州沖縄地方では、プラス成長となるものの回復は緩やかになるとIDCは予測している。
IDC Japan ITスペンディンググループ マーケットアナリストの市村仁氏は「各地域ともに景気回復を見込み組織強化を検討する中堅中小企業が徐々に増加しており、そこにIT投資拡大の余地があるとみている。ITベンダーは、各地域の経済環境をより考慮した製品やソリューションを展開すべきだ」と分析している。
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