Microsoftの将来のデータセンターは、トレーラーパークのような形になるだろう。
データセンター建築現場で作る必要があるのはコンクリート製の受け台だけ。ほかのものはすべて、事前に工場で生産されたユニットの形で運び込まれる。この手法は現行のアプローチの一歩先へ行くものだ。Microsoftが新しい巨大なシカゴデータセンターなどで採用している現行アプローチでは、サーバはコンテナに収容された形で運び込まれるが、それでも水と冷却設備のために従来型の建物は必要となる。
データセンターはMicrosoftの将来の財政にとって鍵となるものだ。「Bing」からクラウドベースの「Windows Azure」、そして「Exchange」や「SharePoint」といった現在のソフトウェアをMicrosoftがホスティングするサービスまで、すべてにおいて重要なものだ。
「将来は、コンクリート製の受け台を除き、実質的にすべてのものを事前に工場で生産した上で、現場で組み立てるようにする計画だ。IT、機械、電気系統のコンポーネントはすべて、事前に工場で組み立てられたコンポーネントの一部となる。われわれはこれらのコンポーネントを『ITPAC』と呼んでいる」。MicrosoftのゼネラルマネージャーKevin Timmons氏は米国時間3月23日、ブログ記事の中でこのように述べている。
Timmons氏によると、このユニットは、鋼鉄やアルミニウムなど標準的なリサイクル可能素材でできた部品で作られ、住宅並みの水圧の水道ホース1本だけで冷却できるものになるという。
ユニットは400台から2500台までのサーバを収容でき、200kWから600kWの電力供給が可能。Timmons氏は、オートメーションにより、作業者1人でわずか4日あればユニットを1つ完成させることができるとしている。ユニットは大きな建物の中に置くこともできるし、保護パネルを付ければ屋外に置くこともできる。
「この新しいアプローチの採用によって、Microsoftでは新しいクラウドコンピューティングに対応するキャパシティを用意する時間を、従来型データセンターインフラストラクチャの半分に短縮できるとともに、建設コストも大幅に削減できる。そのため、デンターセンターに多額の先行投資をしてから需要が出るのを祈るのではなく、柔軟に拡張していくことが可能になる」(Timmons氏)
工場生産ユニットは、従来型データセンター設計に比べて環境面のメリットも大きい。使用する水の量が従来型データセンターのわずか1%とはるかに少なく、また外気を利用することで高額なサーバ冷却装置が不要になる。
短所はというと、Timmons氏は新しい外観のデータセンターが美人コンテストで入賞するとは思わないという。
「この設備は美しいものにはならないだろう。むしろ、わたしがイリノイ州の田園地帯で過ごした少年時代によく遊んだ納屋に似たものになるかもしれない」(Timmons氏)
Microsoftは2008年時点ですでに、この方向に向かう計画であることを表明していた。2009年のProfessional Developers Conferenceで、この自己完結型ユニットの初期バージョンを披露している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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