グーグル、紙媒体に進出--AdWordsスポンサーに雑誌広告枠を再販

Stefanie Olsen(CNET News.com)2005年09月01日 11時04分

 Googleが、収益性の高いインターネット広告のネットワークを紙媒体の世界にまで拡げ、ネット以外の媒体に流れる広告費を獲得しようという大胆な試みを進めている。

 Googleから広告枠を購入した企業の幹部らによると、同社は紙媒体の広告を販売するテストを密かに進めているという。売上高の99%をインターネット広告が占めているGoogleは、最近になってPC MagazineやMaximum PCなどの雑誌の広告枠を購入し、これを4〜5分の1に分割して、同社のオンライン広告ネットワーク「AdWords」に参加する小規模な広告主に再販し始めた。

 PC Magazineに広告を掲載した5社の広告主のうち、Inksiteの社長であるMichael Keenは、「2カ月半くらい前にGoogleから連絡があり、印刷物に広告を掲載していくという説明があった。われわれはAdWordsの広告主として取引があったので、新しい広告活動の候補者に最適だと考えたのだろう」と米国時間29日に語った。

 この実験--広告枠を購入している企業各社はそう呼んでいる--はGoogleによるディスプレイ広告関連の最新の試みであり、ネットと紙媒体の両方をカバーする広告販売のワンストップショップ化に向けた新しい大きな一歩といえる。業界観測筋によると、同社はこの実験で初めてネット以外の業務に進出したという。

 広告代理店Publicis GroupeのTim Hanlon(新規顧客担当シニアバイスプレジデント)は、「Googleは、以前から自社の創造力の魅力を高めようと取り組んできた。広告主にテキストリンク以外の提案をしたい、という願望が同社にあることは明らかだ」と述べている。

 また、紙媒体の広告取り扱いによって、広告主と出版社の仲介役になるというGoogleの取り組みが拡大される。

 「Googleは大手メディア企業が業務の流れに関与する必要がないことをすでに証明した。誰でも、コンテンツを用意して、あとはAdWordsのような広告ネットワークから直接広告をもらえば、それで収入が得られる。従来からの広告関係者の中には、このやり方に虚を突かれた者も多かった」(Hanlon)

 InksiteのKeenによると、プリンタ用のインクやトナーを販売する同社は、約1000ドルを支払ってPC Magazineの9月6日号に4分の1ページの大きさの広告を掲載したという。なお、「プリンタトナー」という言葉でマッチするテキスト広告の料金は、1クリックあたり最高2ドル25セントになる。

 PC Magazineの9月6日号には、Googleが用意した全ページの広告が掲載されるが、このページの最上段にはページのオンライン版にリンクするURLも掲載されている。さらに、同ページの一番上には「Googleの配信する広告("Ads by Google" )」という表記があり、また一番下には「各製品やサービスはGoogleの広告主が提供しています」という一文も見られる。しかし、Googleのロゴは一切見あたらない。

 Googleによる紙媒体の広告への進出について、一部の金融アナリストは険しい反応を示している。

 PiperJaffrayのシニアインターネットアナリストSafa Rashtchyは、「彼らが多くの資金や資源を紙媒体の広告事業に投入するというのであれば、私は驚きを感じ、いくらかがっかりするだろう。私の推測では、これは単なる実験だ」と述べている。

 ほかの業界観測筋は、検索広告の売上がいずれピークを迎える可能性がある点を踏まえ、Googleのこの動きを前向きに評価している。

 Search Engine Roundtableの編集者Barry Schwartzは、「今は、PPC(クリック課金)広告の在庫がどんどん減っている、という話をあちこちで聞く。だから、Googleが在庫を増やす方法を探すのは理にかなったことだ」と述べた。

 GartnerアナリストのAllen Weinerは、GoogleとYahooが同様の広告に関して、欧州の商品宣伝雑誌に話を持ちかけたことを指摘している。

 「両社が総合広告代理店になろうと考えているなら、紙媒体の広告を取り扱う機会を検討するのは当然だと思う」(Weiner)

 Googleの観測筋はさまざまな反応を示しているが、一部のオンラインマーケティング担当者からは、そのポテンシャルに対する期待の声が上がっている。

 セキュリティソフトウェアベンダーCyberScrubのCEO(最高経営責任者)、Bill Adlerは、「さまざまな理由から、効果の浮き沈みがやや激しい」クリック課金に代わる選択肢として、紙媒体の広告は歓迎だという。PC Magazineの広告では、同社もGoogleの広告主になった。

 「(今回の広告掲載により)異なるユーザー層にわれわれの製品を披露し、ブランド力を高める機会が生まれると思う」(Adler)

 ウェブベースのコンテンツ管理ソフトメーカーAHS Systemsは、今回4000〜5000ドルを払ってPC Magazineに広告を2カ月間掲載した。同社社長のJeff Witkowskiによると、同誌の場合、同サイズの広告を掲載するには通常1カ月で3000ドルかかるという。

 Witkowskiは、「これでコストを抑えて多くの露出が得られた」とし、Googleは「今回トラッキングにかなり力を入れている。彼らは専用の無料電話番号も用意し、われわれに通話を転送している」と付け加えた。同社はオンライン広告の各アドレスでも、Googleサーバ経由で各広告主のサイトにトラフィックを転送しているという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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