2011年中堅・中小企業におけるBIの最新動向調査報告

株式会社ノークリサーチは、2011年の中堅・中小企業におけるBI市場の最新動向に関する調査報告を発表した。

中堅・中小に特有の「現場レベルでのBI活用」のニーズを受け、関連ソリューションが登場
「BI」というカテゴリに表れない個別部門で利用するシステムへのBI機能統合に注目すべき
<注目すべき最新事例と動向>
・生産管理システムにおけるデバイスと連携した見える化/見せる化ソリューション
・ワークフローに集計/分析機能を組み込むことによる経費精算チェックの高度化
・ASP/SaaSへのBI機能統合によるBI活用の敷居低下と現場レベル活用への波及

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2011年2月14日

2011年中堅・中小企業におけるBIの最新動向調査報告

分析および執筆: 岩上由高

株式会社ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1 東京芸術センター1705:代表伊嶋謙ニ03-5244-6691 URL:http//www.norkresearch.co.jp)は、2011年の中堅・中小企業におけるBI市場の最新動向に関する調査報告を発表した。
※グラフ・図表につきましては下記URLをご覧ください
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中堅・中小に特有の「現場レベルでのBI活用」のニーズを受け、関連ソリューションが登場
「BI」というカテゴリに表れない個別部門で利用するシステムへのBI機能統合に注目すべき
<注目すべき最新事例と動向>
・生産管理システムにおけるデバイスと連携した見える化/見せる化ソリューション
・ワークフローに集計/分析機能を組み込むことによる経費精算チェックの高度化
・ASP/SaaSへのBI機能統合によるBI活用の敷居低下と現場レベル活用への波及


▼中堅・中小に特有の「現場レベルでのBI活用」のニーズを受け、関連ソリューションが登場

以下のグラフは年商500億円未満の国内中堅・中小企業1000社に対し、「業績改善に役立つと思われるIT活用」を尋ね、そのうちの「ビジネスインテリジェンス(BI)による業務や業績の見える化」についての結果を示したものである。別途、経常利益の変化(増加/減少)をどう見込んでいるか?を尋ね、その結果別にBIの有効性をどう捉えているか?を集計している。
この結果を見ると、経常利益の増加を見込むユーザ企業の方がBIの有効性に対する期待度が高いことが分かる。ただし、ここでのBIとはDWHを構築し、経営層が企業全体のパフォーマンスを分析するといったものではなく、「現場レベルで何が起きており、そのためにどういった対処をすれば良いか?」を支援するための仕組みを指す。
以下の調査は2010年6月に実施したものだが、その後中堅・中小企業のこうした潜在ニーズを受けて「中堅・中小向けの現場レベルでのBI活用」に関連するソリューションが次々と登場してきている。次頁ではそうした最新の取り組みを整理し、中堅・中小企業におけるBIの最新動向について考察していく。


▼「BI」というカテゴリに表れない個別部門で利用するシステムへのBI機能統合に注目すべき

「現場レベルのBI活用」は個々の現場で利用される情報処理システムに付随した形をとるため、「ビジネスインテリジェンス」というカテゴリでは捉えづらい。そのため、それぞれの情報処理システムの動向を横断的に俯瞰する必要がある。以下では様々な情報処理システムに見られる「現場レベルのBI活用」の具体例を整理する。

<製造現場における「現場レベルのBI活用」>
厳しい経済環境下においても、中堅・中小の製造業は更なる業務効率改善を求められている。複数の生産形態に対応することによる受注減のカバー、熟練社員の退職に備えたノウハウの継承といった様々な課題を抱えている。それらに対処するために重要となってくるのが「製造現場の可視化」である。例えば、製造ラインの停止が起きた場合、その原因は何であり、そうしたトラブルがどの程度の頻度で発生しており、今後どのような対策を講じるべきなのか?を客観的なデータに基づいて現場レベルで判断する必要がある。これを支援する仕組みが生産管理システムへのBI機能の適用だ。具体的には以下のようなソリューション例がある。

・「glovia G2」(グロービアインターナショナル)における「見せる化」
製造現場でも利用が可能なダッシュボードが提供されており、製造ラインで一定の閾値を超える事象が発生した場合にアラートを通知するといった機能を備えている。これによって、過去データの蓄積による傾向分析だけでなく、分析結果に基づいた事前対処の業務フローを現場レベルで構築することも可能となる。

・「GLOVIA smart 製造MES」(富士通/富士通マーケティング)における「見える化ソリューション」
「GLOVIA smart 製造MES」と生産現場に設置するパトライトやライン監視システム(映像記録装置)を連携させ、パトライトが点灯する事象発生の特徴分析や生産ライン停止が起きた時の映像確認による原因特定といったことが可能となる。デバイスを用いた製造現場における詳細なデータ収集をBIに結び付けることにより、現場視点での分析と対処を可能にする取り組みといえる。

<経費精算処理における「現場レベルのBI活用」>

出張旅費などの経費精算処理の多くはワークフローによって現場部門から申請され、経理部門が処理をするという流れをとるのが一般的だ。だが、昨今では経理部門においても単に現場からの申請内容を確認するだけでなく、無駄な経費を削減するために現場を指導するといった高度な役割が求められてきている。こうした背景を受けて、ワークフロー自体に集計/分析機能を実装し、無駄な出張の多い部門はないか?などを経理部門がチェックできる仕組みを備えたものも登場してきている。具体的には以下のようなソリューションがある。

・「X-point」(エイトレッド)の「集計機能」
ワークフローの中で経費精算申請データの集計/分析が可能となっている。また必要に応じてそれらのデータを外部に出力することもできる。

<営業/顧客管理業務における「現場レベルのBI活用」>

業務システムとBIとの連携は中堅・中小企業においても既にERPなどで盛んに行われている。だが、昨今ではASP/SaaS形態で手軽に利用できる営業/顧客管理システムにもBI機能が提供されるケースも登場してきている。営業/顧客管理システムにおいては蓄積されたデータをいかに有効活用するかが非常に重要だ。サービス提供側のこうした取り組みによって、その重要性を認識するユーザ企業の裾野が今後徐々に広がる可能性もある。

・「営業支援GRIDY SFA」(ブランドダイアログ)における「Dr.SUM EA」の実装
中堅・中小企業のBIにおいても多くの実績を持つウイングアークテクノロジーズの「Dr.SUM EA」を同サービスの分析/集計機能として採用している。同様の取り組みは東洋ビジネスエンジニアリングが自社のSaaSである「MCFrameonline」でQlikTechのBI製品「QlikView」を採用している。こうしたSaaSへのBI機能統合により、中堅・中小企業がBIへ取り組む際の敷居が下がり、その結果現場レベルでのBI活用が促進されることも期待される。

このように中堅・中小企業における「現場レベルのBI活用」はBIという独立したカテゴリではなく、それぞれの業務システムに組み込まれる形を見せている。そのため、中堅・中小企業におけるBI活用においては「BI」というカテゴリだけではなく、個々の部門や業務システム毎にニーズや動向を把握していくことが重要である。


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