大手ベンダによる低価格IT機器提供に関する意識調査

株式会社ノークリサーチは、大手ベンダによる低価格IT機器提供に関するユーザ企業および販社/SIerの意識調査結果を発表した。

▼SOHOなどの小規模企業への新規訴求は困難、中堅・中小企業の部門単位導入が有望
▼ユーザ企業は大手ベンダ製品の手軽な導入に期待しつつ、管理/運用コスト増加を懸念
▼5万円前後の低価格IT機器であっても、中堅・中小企業は販社/SIer経由での購入を望む
▼販社/SIerのメリット認識はユーザ企業とほぼ一致、販社/SIer向けの施策検討が不可欠

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2010年12月16日

大手ベンダによる低価格IT機器提供に関する意識調査

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


株式会社ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1 東京芸術センター1705:代表伊嶋謙ニ03-5244-6691 URL:http//www.norkresearch.co.jp)は、大手ベンダによる低価格IT機器提供に関するユーザ企業および販社/SIerの意識調査結果を発表した。


▼SOHOなどの小規模企業への新規訴求は困難、中堅・中小企業の部門単位導入が有望
▼ユーザ企業は大手ベンダ製品の手軽な導入に期待しつつ、管理/運用コスト増加を懸念
▼5万円前後の低価格IT機器であっても、中堅・中小企業は販社/SIer経由での購入を望む
▼販社/SIerのメリット認識はユーザ企業とほぼ一致、販社/SIer向けの施策検討が不可欠


昨今、シスコシステムズによる「シスコスモールビジネス」シリーズ(ルータ/スイッチ/無線アクセスポイント/ストレージなど)や日本HPの「HP Proliant MicroServer」「HP StorageWorks X510 Data Vault」などといったように5万円前後の安価な価格帯で導入が可能な小規模ユーザ企業向けIT機器提供の動きが活発化している本リリースは年商500億円未満の中堅・中小ユーザ企業および、それらを顧客とする販社/SIerに対して実施した、大手ベンダが提供する低価格IT機器に対するアンケート調査結果のダイジェストである。

調査対象企業: 年商500億円未満の国内民間企業(ユーザ企業:738社、販社/SIer:253社)
調査実施時期: 2010年11月
調査対象職責: 以下のいずれかの職責に該当する社員
・企業の経営に関わる立場であり、IT関連投資の決裁を下す立場
・企業の経営に関わる立場であるが、IT関連投資の決裁には直接関わらない立場
・ITの導入/選定/運用作業に関わり、社内の経営層に対する提案も行う立場
・ITの導入/選定/運用作業に関わるが、社内の経営層に対する提案は行わない立場
※グラフにつきましては下記URLをご参照ください
リンク


▼SOHOなどの小規模企業への新規訴求は困難、中堅・中小企業の部門単位導入が有望

以下のグラフは年商500億円未満のユーザ企業(IT企業は除く)に対し、大手ベンダから提供される低価格IT機器の導入意向を尋ねた結果である。年商5億円未満の小規模企業ではパソコンやインターネット接続環境の普及状況と比べた場合、サーバ/ストレージ/社内ネットワーク機器の導入率は全般的に低い。大手ベンダによる低価格IT機器はこうした小規模企業における潜在ニーズを狙ったものも少なくない。しかし、年商5億円未満のユーザ企業では56.0%が「導入する予定はない」と回答しており、必ずしも価格の引き下げがニーズ喚起に繋がっているわけではないことがわかる。
一方、「導入を前向きに検討したい」という回答の比率は年商5億円~500億円未満の中堅・中小企業において年商と共に高くなる傾向にある。後述する「低価格IT機器のメリット」を年商別に分析すると、「部署単位でのIT機器導入におけるコスト削減に役立つ」という回答が年商に応じて増える傾向が読み取れる。つまり、大手ベンダによる低価格IT機器は年商5億円未満の小規模企業のニーズを喚起するものではなく、年商5億円~500億円未満の中堅・中小企業における部門単位での機器導入コスト低減の手段として活用される可能性が高いものと予想される。年商100億円~300億円のユーザ企業層では導入意向が低くなっているが、この年商帯では「安価な製品が多数導入されることで逆に管理/運用コストが増大する」という懸念を挙げる割合が高い。この年商帯はIT機器の数が下位年商帯よりも多い一方で、上位年商帯ほどIT機器の管理/運用体制が整っていないという特徴を持つ。したがって、IT機器の増加につながる取り組みについては他の年商帯と比べて慎重になりやすいと考えられる。


▼ユーザ企業は大手ベンダ製品の手軽な導入に期待しつつ、管理/運用コスト増加を懸念

以下のグラフは年商500億円未満のユーザ企業(IT企業は除く)に対し、大手ベンダから提供される低価格IT機器のメリットやデメリット、望ましい購入先を尋ねた結果である。
メリットについては年商5億円未満の小規模企業においては「特にメリットは感じられない」という回答が50.7%に達しており、前頁に挙げた導入意向と同様に関心の低さがうかがえる。年商5億円~500億円の中堅・中小企業については「大手ベンダから提供されることでの安心感/信頼感がある」という回答が最も多く、「価格面の障壁が消えて、新規での機器導入が可能となる」「管理作業に手間をかけなくても、導入/運用が可能である」の2つが続いている。これら3つの項目が挙げられる比率は年商による大きな差がなく、年商5億円以上であれば「大手ベンダが提供するIT機器を安価かつ手軽に導入できる」ことを一様にメリットとして認識していることがわかる。一方、「部署単位でのIT機器導入におけるコスト削減に役立つ」という回答は年商が高くなるにつれて挙げられる比率も高まっており、企業規模が大きくなるにつれて部署単位導入ニーズも高まる傾向にあると考えられる。
デメリットについては「価格が安いため、導入/運用におけるサポート面において不安がある」と「機能や性能が最小限に絞られているため、拡張性において不安がある」がほぼ同率で並んでいる。年商5億円~50億円のユーザ企業層では「特にデメリットは感じられない」という回答が50.7%に達しており、低価格IT機器導入に対しては比較的楽観的な見解を持っている。IT機器の数や扱うデータ量が少ないため、必要に応じて最も手軽なIT機器を逐次導入するというアプローチでも大きな支障が出ないと判断しているものと推測される。「安価な製品が多数導入されることで、逆に管理/運用コストが増大する」という回答は年商50億円以上のユーザ企業層では20%を超えており、部署単位で手軽に導入できることの利便性と企業全体としての統一性の維持といった相反する要素がユーザ企業にとっても悩みどころとなっている状況が読み取れる。
最も望ましい購入先としては年商5億円未満のユーザ企業層では「量販店から購入したい」が多く挙げられているものの、「既に取引のある販社/SIerから購入したい」が半数弱に達し、「大手ベンダから直接購入したい」を上回っている。オプション選択といった自由度の少ない低価格製品は直販が適切と考えがちだが、中堅・中小企業は既存の販社・SIerへの依存度が高い。低価格IT機器を提供する大手ベンダとしては既存の販社/SIerを通じた製品の訴求、流通の手立てを考える必要がある。


▼販社/SIerのメリット認識はユーザ企業とほぼ一致、販社/SIer向けの施策検討が不可欠

以下のグラフは年商500億円未満のユーザ企業を顧客に持つIT関連の販社/SIerに対し、大手ベンダによる低価格IT機器の「取扱い/販売の意向」「メリット」「デメリット」を尋ねた結果を主要な顧客年商別に集計した結果である。つまり、先に挙げたユーザ企業の年商別設問と同等の内容を販社/SIerの立場から見た結果ということになる。「取扱い/販売の意向」についてはユーザ企業に尋ねた結果と符合しており、年商5億円未満の小規模企業を顧客に持つ販社/SIerは取扱いの意向が低く、年商5億円以上の中堅・中小企業を顧客とする場合には顧客年商の増加と共に取扱い意向も高くなる傾向にある。ただし、年商100億円~300億円のユーザ企業層に対しては現時点での取扱い/販売の比率が低い点に注意が必要である。先に述べたように同年商帯ではユーザ企業が低価格IT機器導入に対して慎重であり、販社/SIerの意向とは若干の相違が生じている。
メリットについてはユーザ企業と同様に「大手ベンダの製品を安価かつ手軽に訴求できる」という点を挙げる比率が高い。一方、
デメリットについては「販売時のマージン」や「導入/運用における作業/サポートの収益」の低下を懸念する回答が多い。前項で述べたようにユーザ企業としては既存の販社/SIerからの購入を望んでいるが、販社/SIerは低価格であるがゆえに販売時や導入/運用における収益確保が難しいという課題に直面している。大手ベンダとしては、部門単位導入で低価格IT機器を販売した販社/SIerに対しては、同じ顧客に対する業務システム向けのサーバ販売でのインセンティブを厚くするなどによって、低価格IT機器販売に留まらない広い視点での支援策が求められる。


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「カスタムリサーチ」はクライアント企業様個別に設計・実施される調査とコンサルティングです。

1.調査企画提案書の提示:
初回ヒアリングに基づき、調査実施要綱(調査対象とスケジュール、費用など)をご提案させていただく

2.調査設計:
調査企画提案に基づき、具体的な調査方法の選定、調査票の設計/作成やインタビュー取材計画立案を行う

多彩な調査方法が活用できます。
定量調査(アンケート調査)
ユーザ企業の実態とニーズを数値的に把握したい
販社やSIerが望む製品やサービスの動向を知りたい
定性調査(インタビュー調査)
ユーザ企業が抱える課題を個別に詳しく訊きたい
販社やSIerがベンダに何を期待しているかを訊きたい
デスクトップリサーチ
競合他社の動向などを一通り調べたい

3.実施と集計:
設計された調査を実施し、その結果を集計する

4.分析:
集計結果を分析し、レポートを作成する

5.提言:
分析結果を基にした提言事項を作成し、報告する


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