「カワイイだけじゃない」:ガジェット好きな女性が生み出す新市場

文:Leslie Katz(CNET News.com) 翻訳校正:河部恭紀(編集部)2006年07月18日 23時54分

 シリコンバレー在住で32歳のプログラマーGina Hughesさんを街で呼び止めてみるとよい。彼女のバッグにはいつでも「Treo」スマートフォン、Bluetooth対応ヘッドホン、デジタルカメラ、「iPod」などの携帯機器(ガジェット)が入っている。

 彼女の部屋には、何台かの「TiVo」と液晶テレビ、「MacBook Pro」、ビデオカメラ、「プレイステーション・ポータブル」、「ニンテンドーDS Lite」が並んでいる。それと同じくらいすごいのが彼女の車だ。映画「スタートレック」に出てくる宇宙船Enterprise号のコックピットに負けないくらい、多くのボタンがダッシュボードについている。

 「これらのガジェットがあると安心できるし、自信も持てる」と語るHughesさんは、Techie Divaというブログを開設している。「もちろん、カッコいいしね」(Hughesさん)

 彼女はYahooで技術系のコラムも書いており、現代の女性ガジェット愛好家のシンボル的存在といってもよいだろう。自分のガジェットには情熱的で知識も豊富だが、購入する前には数週間を費やして製品調査をする用心深い消費者でもある--そんな本当に熱心なガジェット愛好家の女性が今、増えている。実際の数字を見ても、彼女たちが家電市場で主要なプレーヤーになっていることが分かる。

 市場リサーチ会社NPD Groupの調べによると、2005年の家電製品の総売上1072億ドルの購入者内訳は、男性が54%(579億ドル)、女性が46%(493億ドル)であったという。女性の購入額は、2004年の419億ドルから18%増を示している。男性の購入額は、2004年、2005年ともほぼ同じであった。

 「単に携帯機器を購入するだけでなく、家族の生活の質を高める実用的な製品を持つという傾向がますます強くなっている」とNPD Groupの業界分析担当バイスプレジデントStephen Baker氏は説明する。「ネットでのショッピングが当たり前になった今、コンピュータの購入費用は家計の一部に含まれるようになった。これまでのように、携帯機器の代金は男性が支払うという時代ではなくなっている」(Baker氏)

 実際にお金を出すのは、家庭の主婦、働く女性、その他さまざまなライフスタイルを持つ21世紀の女性たちだ。いずれにしても、ガジェットメーカーはこうしたガジェット好きの女性が増えていることに注目している。Apple Computer、Motorola、Eastman Kodak、Sony、Nintendoといった大手企業は、携帯電話、USBフラッシュメモリ、携帯型ゲーム機器に、豊富なカラーと美しい曲線のあらゆるデザインの製品を用意しており、特に広告には女性を採用することが多い。女性だけをターゲットにした製品を開発しているデザイナーもいる。

 「私が知っている大半の女性は生活の中で多くの役割をこなしており、彼女たちにとってそのどれもが重要なものだ」とデザイナーのSteffi Card氏は言う。「彼女たちはガジェットを仕事のためだけに使用しているわけではない。プライベートで、あるいは友人や家族との時間に、そしてあらゆる場面でガジェットを必要としている」(Card氏)

 Card氏は、ヘッドホンとして使用できるおしゃれなヘアバンドSwapsetsのアイデアを思いついた。このヘアバンドにはオプションで携帯電話用のヘッドセットと組み合わせることもできる。通常のヘッドホンは少なくとも彼女の感覚では付け心地が悪く、魅力的という言葉からはほど遠いものだった。

 「ヘッドホンはとにかく柔軟性がないのが気に入らなかった」とCard氏は言う。彼女は、ニューヨークで夫とSteffi Thomas NYCを共同経営している。「ヘッドセットのスピーカーをいつも耳に被せておく必要があるのが嫌だった。つけると片耳しか聞こえないような感じになるし、それに見た目も嫌いだった」(Card氏)

 Swapsetsは、普通のヘアバンドと同じように使用して、耳の後ろで髪を止めることができる。材質は、ウール、綿、シルクがあり、模様も水玉、ストライプ、ペーズリーが用意されている。オプションのアクセサリとしてヘアバンドの端に下げるイアリングのような装飾品もある。これを着けると華やかな感じが増す。

 「ヘッドセットというのは、頭というより、顔にかかる部分が多い。魅力的で面白いデザインにして当然。どうせ着けるのなら楽しいほうがいい」(Card氏)

 Swapsetsのサイトには、いろいろなオプションを合わせてみるツールまで用意されており、購入者は、いろいろと試しながら自分に似合う組み合わせを選ぶことができる。しかし、女性向けのガジェットは、ファッション性とデザインが優れているだけではダメで、スタイル感覚以上の何かが組み込まれていなければならないとCard氏は指摘する。

 「可愛くて魅力的であることはもちろん重要だけれど、それだけではダメ。品質、心地よさ、実用性をすべて兼ね備えていないと」(Card氏)

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