カリフォルニア州ラグーナニゲル発--再生可能エネルギーが勢いを増すにつれて、環境保護活動家は次第に、長年の敵である原子力発電を支持するかと問われるようになっている。
当地で開催のFortune Brainstorm GREENカンファレンスでは、将来のクリーンエネルギーに関する議論で、原子力発電がたびたび話題になった。電力会社は、米政府の政策に促され、風力発電と太陽エネルギー発電に投資しているが、再生可能エネルギーにできることには限界があると業界関係者は言う。
クリーンエネルギーが近い将来電力需要のすべてを供給できると言う環境保護活動家がいたら、その人は理想主義者だと、電力会社NRG Energyの最高経営責任者(CEO)David Crane氏は言う。同社は太陽エネルギーと風力に投資しているが、テキサス州に原子力発電所を建設することを検討している。Crane氏は、石炭火力発電所で二酸化炭素を回収し地下に貯蔵することよりも、原子力の方が発達していると述べる。
「現実的に対処したい人は、もし自分が電力会社のCEOだったとして、停電が起きて州知事が電話で怒鳴り叫んできたらどうするか考えてみてほしい。わたしは再生可能エネルギーに反対しているわけではないが、こういったことすべての釣り合いをとる必要がある。この国には低炭素または無炭素のベースロード発電が必要だ」。Crane氏は、米国時間4月13日のパネルディスカッションでこのように述べた。
風力や太陽エネルギーは断続的なものだ。つまり、電力が絶え間なく供給されるわけではない。一方、原子力発電所は24時間稼働でき、運転中に二酸化炭素を排出しない。これが、環境保護活動家Stewart Brand氏が原子力を支持するようになった主な理由だ。
また、コストの問題もある。原子力、風力、太陽エネルギーはすべて、現在の価格では、天然ガスで発電するよりもコストが高いとCrane氏は言う。米政府の政策に、原子力発電に対する借り入れ保証のような支援がなかったら、電力会社は天然ガスに移行するだろう。石炭よりも汚染が少ないからだ。しかしパネリストたちは、需要が急増すれば、価格は現在の100万英熱量単位(約10億ジュール)当たり4ドルから上昇するだろうと語った。
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