3Dテレビとなると、筆者にはこれが見えない。文字通り、見ることができない。2Dの画面を見たときに3Dの映像が存在するかのように見せるはずのテクノロジが、筆者には作用しない。このような人々は、小さいが無視できない割合で存在しており、専門家によって4%から10%と言われている。コンテンツ会社とハードウェア会社が3Dに移行する中、筆者のような人が数多く取り残されようとしている。
不満を述べようというのではない。これは世界の終わりというわけではないのだ。筆者のように平面でしか見ることができない人でも、3Dコンテンツの2Dバージョンを見ることはできる。筆者は3Dでないバージョンで「アバター」を見た。うれしいことに、ほとんど空席だった(廊下を隔てた3D上映の方はもっと混んでいたが)。それに、例のばかげた眼鏡を掛ける必要もなかった。
もちろんわれわれは社会的存在であり、平面でしか見ることができない人々にとって、3Dが見えないということは、3D映画を見たい友人や家族は気まずい存在ということになる。頭痛を引き起こしたり、あるいは単に見てくれが悪かったりする映像が終わるまで座り続けなければならないかもしれないからだ。しかし平面でしか見ることができない人々にとっての3D映像の体験は、人によって異なる。筆者は3D映像を見ると不快に感じるが、同じく3Dが見えない米CNET NewsのDaniel Terdiman記者は、「アバター」を3Dバージョンで、3D眼鏡を掛けて見た。3Dでないというだけで、問題なく見えるという。
2010 International Consumer Electronics Show(CES)では、家庭用テレビが3Dに向かうトレンドは誰の目にも明らかだったが、平面でしか見ることができない人々にこの動きがどのような影響を与えるかについて、メーカーは何も触れていなかった。1%でも多くの市場シェアを競って汲々としているハードウェア企業各社が、この新しい方向性を好まないだろう多数の人を、どうして尊大にも無視できるのか、筆者は知りたいと思った。これは大きな市場だ。各社は、この市場を失うことにどう対処するつもりなのだろうか。
不思議なことに、筆者が問い合わせたHDテレビメーカーのいずれからも、この点について直接のコメントは得られなかった。しかし業界に詳しい人々や、3Dコンテンツ視聴の普及推進に特別な関心を持っている検眼士とは話すことができた。
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