例のGoogle OSといううわさが現実になりつつある。それは、Googleのブラウザ「Google Chrome」がベースになる。
Googleは米国時間7月7日夜、自社ブログで「Google Chrome OS」を発表した。同社によると、2010年後半には、ネットブックと呼ばれるローエンドPCに搭載される予定だという。このオープンソースプロジェクトの裏側ではLinuxが稼働する予定だが、アプリケーションはウェブ上で稼働することになっている。
言い換えれば、Googleのクラウドコンピューティングへの野心は、かなり大きくなっている。
プロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのSundar Pichai氏とエンジニアリングディレクターであるLinus Upson氏はブログ記事の中で、「Google Chrome OSは、ほとんどの時間をウェブで過ごす人々のために作られている。そして、小型のネットブックからフルサイズのデスクトップシステムまでにわたるコンピュータを動かすために設計されている」と述べた。
この動きは、さまざまなことを暗示している。
その1つとして、これは、ウェブを静的なページにとってだけでなく、動的なアプリケーション、特に「Google Docs」や「Gmail」などの自社のアプリケーションにとっての基礎とすることについて、Googleがどれほど本気であるかを示している。もう1つ、これによってMicrosoftとの競争が新たに始まるし、独占禁止法の監督当局にとっては、Googleの動きに細心の注意を払う新たな理由ができるかもしれない。
この動きは、低価格でネットワーク対応のコンピュータを目指すネットブックの動きをさらに活発化させることにもなる。そうしたマシンでは現在、WindowsやLinuxが稼働している。Google Chrome OSが提供する新しい選択肢は、Sun MicrosystemsのScott McNealy氏とOracleのLarry Ellison氏が提唱していた、1990年代の「ネットワークコンピュータ」時代に注意を向けたものだ。
しかしGoogleは、「競争はわずかワンクリック差」という、独占に関連して同社がよく使っている反論を、Google Chrome OSでもそのまま保とうとしている。「ウェブベースのアプリケーションはすべて、Google Chrome OSだけでなく、WindowsやMac、Linux上の、標準に基づいたいかなるブラウザでも稼働するだろう。そのため開発者は、すべてのプラットフォームの最大のユーザー基盤を得ることになる」
別のやや複雑な話は、企業統治に関係したものだ。Googleはこれまで、携帯電話用OS「Android」を提供することによるAppleとの競争上の問題は、最高経営責任者(CEO)のEric Schmidt氏がAppleの取締役を辞任しなくてはならないほど大きな問題ではないと主張してきた。完全なPC向けOSを提供すれば、Schmidt氏がAppleとGoogleの職責を二重に負っていることについて、米連邦取引委員会(FTC)の「議論」が激化する可能性がある。
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