サンフランシスコ発--「この会場にいる皆さんのうちどれだけ多くの方が実際に犠牲になったのかは分からないが、お悔やみ申し上げたい」。広告代理店Crispin Porter + Bogusky(CP+B)のインタラクションデザイン部門責任者であるMatt Walsh氏は米国時間4月3日、Web 2.0 Expoでの講演で聴衆を見渡しながらこう述べた。
結局のところ、CP+Bこそが、FacebookでのBurger Kingの広告キャンペーン「WHOPPER SACRIFICE」(ワッパーの犠牲者)現象を生み出した企業なのだ。WHOPPER SACRIFICEキャンペーンとは、Facebookの友達リストから友達を10人削除した参加者は、ハンバーガー1個と無料で交換できるクーポンをもらえるというもの。このキャンペーンは大成功を収めた。このFacebookアプリケーションは数日間で6万回近くインストールされ、発送されたWHOPPERクーポンは2万枚に迫り、20万人を優に上回るFacebook上の友達が削除された。Facebookメンバーは、メンバー同士が互いをいったん友達として追加した上でWHOPPER SACRIFICEのために削除することを申し出る非公式のグループまで作成した。
しかしWHOPPER SACRIFICEでは、友達が削除されると、その友達に通知が送られたことから、Facebookは、ユーザーのプライバシーの侵害にあたるとして、10日後にこのキャンペーンを無効にした。Walsh氏は「(それは)Facebookのコンセプト自体に挑戦を仕掛けるもので、WHOPPER SACRIFICEの方が犠牲になった」と語った。皮肉なことに、このことによってキャンペーンの話題性はいっそう高まる結果となった。
Walsh氏はWeb 2.0 Expoで壇上に立ち、WHOPPER SACRIFICEの成功の背後にあった秘密のソース(うまい例えだ)と同氏が考えるものについて語った。同氏はこれを「deceptive simplicity」(見せかけの単純さ)と呼ぶ。
「そのアイデアはごくごく単純なものだ。ユーザーにとって、極めて簡単に伝達できるメッセージだ。友達を10人犠牲にすれば、無料のハンバーガーを1個もらえる。究極の『エレベーターピッチ』と言ってもいい」(Walsh氏)
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