NVIDIAは大手PCメーカー10社と協力し、ネットブックに初めて同社グラフィックスチップを導入しようとしている、と同社幹部が語った。この取り組みで重要なのは、NVIDIAのシリコンを「Windows Vista」よりもネットブックに適したOSである「Windows 7」で使えるようにすることだ。
NVIDIAは先週、顧客に提供しているネットブック用シリコン「ION」のWindows 7ベータドライバをリリースした。それに関連して、先週台湾で、Windows 7上で動作するアプリケーションのデモを行った。また、NVIDIAはIONプラットフォームがWindows Vistaの認定を取得したと発表した。
IONチップセットは、現在Appleの「MacBook」製品のグラフィックスタスク処理に使われているNVIDIAの「GeForce 9400M」グラフィックスチップセットをベースとしている。
目標は「Atom」プロセッサをサポートするIntelシリコンに取って代わり、ネットブックのパフォーマンスを標準的なノートPCに近づけることだ。現在のところ、Acer、ASUS、Hewlett-Packard(HP)、Dellなどの企業のネットブックには、Atomと付随するIntelチップセットが使われている。
NVIDIAのシニアバイスプレジデントであるDan Vivoli氏は、米国時間2月12日の電話インタビューで「小型のノートPCを購入して、PCにできることを期待しないのはなぜか」と語った。
事実、Intelは2月にそのような方向へ小さな一歩を踏み出している。Intelは、新しい「Atom N280」プロセッサと、IntelベースのAtomシステムで初めて720ピクセルの高解像度の動画を処理できるチップセットを出荷したことで、要求水準を引き上げた。より大きな主流ノートPCには、720ピクセルの動画を処理できるグラフィックスシリコンが最低限必要だと考えられている。
世界最大のグラフィックスチップサプライヤーであるNVIDIAが、最低限のグラフィックスでは不十分だと考えるのは当然だ。
Vivoli氏は「1998年にIntelが『740』(グラフィックスチップ)を発売した時には、それ以上の製品を誰も買いたくなくなると心配されていたことを覚えているが、もちろんそうはならなかった」と語った。
市場で3dfx、ATI Technologies、NVIDIAのグラフィックスチップが740を凌ぐと、740は結局消えていった。
すべての企業は新製品の可能性を誇張する傾向にあり、NVIDIAも例外ではない。だが、歴史的にグラフィックスがほぼ完全に欠如していた小型デバイスに、NVIDIAのグラフィックスを搭載することは同社の成長に欠かせないため、通常よりも大きな賭けであるようだ。
「わたしがここに在籍してきた間、IONよりも興奮を掻き立てる製品はなかった。MicrosoftやAppleでIONを見た誰もが、こんなに小さくて安価なプラットフォームで、このような体験を得られるなんて考えてもみなかったと言う」(Vivoli氏)
Vivoli氏は「広く知られる有名大手企業がIONを使った設計に取り組んでいる。5本や10本の指に入る企業だ」と述べる。同氏は、製品を2009年の中ごろに見込んでいる。
10日に実施されたNVIDIAの第4四半期決算の電話会議では、最高経営責任者(CEO)のJen-Hsun Huang氏はより慎重だった。世界中でNVIDIAのIONノートPCプロジェクトが進行しているとHuang氏は語ったが、「その多くはわれわれの顧客とこれらのプラットフォームの成功にかかっている。これから実行することがまだ多くあるし、未知のことがたくさんある」とも述べた。
また同電話会議では、ある金融アナリストが、ネットブックメーカーは3Dゲーム向けにネットブックを販売していない点を指摘し、3Dグラフィックスはコンシューマーがネットブックで重視する機能ではないと付け加えた。それに対してHuang氏は、コンシューマーは標準的なノートPCでできることをネットブックにも望んでいると反論した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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