Googleとまではいかないが、最近、ライブドアがかなり太っ腹だ。2008年8月に実験的サービスを公開するサイト「EDGE」を開設し、ウェブサービス、各種データ、ソースコードなどを無料で利用できるようにしている。
そもそもの経緯は、2007年に社内で新しいサービスの企画を公募したことにある。いい案が寄せられて、実際に形にしたものの、当時は気軽に公開する場所がなかった。「livedoor」という大規模サイトの元では実験的サービスが運用しづらかったからだ。
ライブドアで働くスタッフが「こんなアイデアが実現できないか?」「こんなサービスがあったら面白いのでは?」と思いついたアイデアをエンジニア主導で開発し、すばやく提供する。そんな実験の場をEDGEとして公開した。
オープンして約半年。EDGEはライブドアのエンジニアにとってかっこうの遊び場となっている。EDGEで公開されているタスク管理ツール「Fixdap」、メモツール「Quill」という2つウェブサービスは、これまでのlivedoorサービスとは異なり、手軽に使える点を追求したシンプルさが際立っている。
外部との協力にも積極的だ。個人の開発者がおもしろいサービスを作っているのを見つけると、サーバの提供やlivedoorサービスとの連携といった支援を申し出て、個人では難しいサービス運営の部分を肩代わりしてあげることもある。これは「EDGE Co.Lab」というプロジェクト。
個人でウェブサービスを立ち上げる敷居が下がっているとはいえ、運営の困難さは変わらない。ユーザーが増えてくると、サーバ代などのコストもかさむ。良いサービスほど運営し続けるが難しくなってしまうのが現状だ。
「おもしろいサービスがつぶれるよりは残ったほうがいい」。ごく自然な考えで、EDGE Co.Labが始まった。
たとえば、麻雀上達コミュニティ「何切る!?」というサイトは個人開発者とのコラボレーションだ。手牌14枚の中からどの牌を切るかを選択して遊ぶ。もともとは個人で始めたサイトで、単体でも人気があったという。
だがライブドアと組めば、より大きなコミュニティのパワーを利用してサイトを活性化できる。livedoor Blogに何切る!?問題を貼り付けられるようにしたり、livedoor Blogでブログを書いてる麻雀のプロに問題を作ってもらったり、livedoorユーザーが流入しやすいようにOpenIDに対応したりした。
これらの施策を打ったところ、トラフィックは5倍になった。重くなったサーバはライブドアが提供した。だが、何切る!?というサイトを訪れても、livedoor色は見られない。サイトが継続できるように、ひたすら裏方に徹している。
「単純にインターネットがおもしろくなればいいと思っています。ライブドアとして、すでにあるサービスと似たものは『パクリじゃねえか』って言われるので作りたくないですし、それならば手助けに回りたいなと。開発者の方には知名度アップや技術サポートというメリットもあると思います」(livedoor ラボ「EDGE」を担当する櫛井優介氏)
コラボレーションの希望はCo.Labのサイトで受け付けている。現在は個人の開発者や小規模のベンチャー企業を優先しているという。
同じような試みとして、ライブドアのデータセンター内にIPv6環境を構築し、企業に開放している。しばらくIPv6環境でサイトを運用してもらい、IPv6にサイトを対応させる際にどのような問題が起こるか、IPv4環境と何が違うか、などを検証してもらうという。これもCo.Labの一環だ。
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