Appleは、最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏の健康は個人的な問題であると何カ月も主張してきたが、Jobs氏の体重が減少したことについての憶測が広まっていることを受けて、方針を転換した。Appleは米国時間1月5日、Jobs氏の健康状態について、ホルモンバランスの異常により、体内からたんぱく質が減少しているとの声明を発表した。2008年末にJobs氏の健康が「急速に悪化している」と報じられてから、Jobs氏の健康に関してもっと悪いニュースを恐れていたAppleの投資家にとって、それは喜ばしいニュースだった。
その事実を公表することはJobs氏にとって明らかに辛いことだった。Jobs氏は公開書簡の中で「この件については話したかった以上のことも含めて、すべて話したつもり」と述べているが、それほど単純なことではないかもしれない。
これで疑念を払拭し、Jobs氏の健康状態を明らかにしたAppleだが、コーポレートガバナンスの専門家によると、同社は今後、最新情報を定期的に提供せざるを得ないかもしれないという。またこの専門家は、Appleは1月5日と同様に、声明に使用する言葉をかなり慎重に選択する必要があるだろうと付け加えている。
企業が経営者の健康問題に関して何をどのように公開するのかを決定する際に、準拠すべき法的ガイドラインは存在しない。そのことはわれわれがJobs氏の健康とAppleの対応に関する問題を取り上げるごとに何度も書いてきたが、繰り返し指摘しておく必要がある。
RiskMetrics GroupのISS Governance Servicesでスペシャルカウンセルを務めるPatrick McGurn氏によると、2009年にJobs氏の健康に関する憶測が飛び交う中、Jobs氏の死が近いことを予測したレポートでAppleは我慢の限界に達したのではないかという。
2008年にJobs氏の健康に関する懸念が最初に浮上した時に、Appleは何か声明を出すべきだったと考えるMcGurn氏は、「Appleがこのようなニュースサイクルを繰り返し経なければならないということは、幾分不健全である」と述べている。
テクノロジ業界でAppleに関係することならば何にでも強い関心が集まることによって、偽情報が生まれる。Jobs氏が瀕死の状態にあるといううわさとともに、偽情報は何度も浮上したように思われる。たいがいこの種の情報源は、Appleの株を空売りして手っ取り早く利益を上げようとしているか、あるいは株価の値下がりから利益を得るために、株価を下落させる方法を模索しているヘッジファンドや投機家だろう。
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