LinuxプロジェクトをリードするLinus Torvalds氏が、Linuxカーネルに大きく貢献するのは簡単ではないと述べた。
イギリス現地時間8月15日に行われたZDNet.co.ukとの電子メールによるインタビューで、Torvalds氏は、プログラマーや組織が小さな修正プログラムに貢献するのは比較的容易だが、単独で大きな修正プログラムを開発して貢献しようとすると、新規の開発者も既存の開発者も挫折感を抱くことになるだろうと述べた。
「『大きな貢献者』になるのは、まったく容易なことではない。まず、カーネルは非常に複雑で大きく、そのため、コードだけでなく、開発環境全体の仕組みも含めたすべてのルールを学ぶには時間がかかる。同様に、新規の開発者の場合、名前を覚えられ、技能を信頼してもらうには時間がかかる」(Torvalds氏)
しかし、Torvalds氏は、Linuxカーネルのプロセスでは、小さな修正プログラムに貢献するのは簡単だと主張した。
「Linuxでは、かなり簡単にカーネル開発に慣れることができるようにしている。実際、うまくいっているようだ。文字通り、リリースごとに、数千人が修正プログラムに貢献している」(Torvalds氏)
Torvalds氏は、新規の開発者も既存のプログラマーも、より協力しあうには時間がかかるため、「大規模で複雑な」修正プログラムが早い段階で送られることは誰も期待すべきではないと述べた。
「誰もが犯す可能性のある最悪の事態は、カーネルを独学し、ひとりで物事を学ぼうとし、その後、何カ月もたってから突然、既存のカーネル開発者に大きな修正プログラムを提示することだ。これでは、誰もがイライラするだけだ」(Torvalds氏)
Torvalds氏は、新規の開発者に対し、「ごく小さな修正プログラム」の送信という「小さなことから始める」ようアドバイスした。
「つまらなく聞こえるかもしれないが、率直に言って、わざわざカーネルを大々的に書き換えることはやめたほうがいい。現実はそれほどたやすくはない」
Torvalds氏は、挫折感を抱いた開発者がLinuxの開発から遠ざかる可能性があることを認め、状況を改善する見込みはあると述べた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス