Douglas Merrill氏は、人々が元Google幹部に期待するすべての資質を備えている。
EMIのデジタル部門の新しいトップは心の底までGoogle社員である。つまり、非常に頭が良く、技術に詳しく、ファイル共有に手を染めているファンを訴えることには断固反対している。
「わたしはデータに夢中なのだ」とMerrill氏は米国時間4月2日、CNET News.comとの電話インタビューで語った。「例えば、ファイル共有は実際にはアーティストにとっては良いことだということを示す一連のデータがある。アーティストにとっては悪いことではないというわけだ。したがって、常にそれを禁止するべきではないのかもしれない。わたしにはわからない。(中略)わたしは一般論として(ファンを訴えるのは反対だ)。明らかに破壊的な海賊行為もあるが、やはりデータによると、場合によってはファイル共有が許容される状況があると思う。われわれがやるべきなのは、ファイル共有がどのような場合に許されて、どのような場合に許されないかを理解することなのだ。(中略)ファンを訴えるのは勝利の戦略とは思えない」
筆者はMerrill氏との電話を切ったところだ。Merrill氏はGoogleの元最高情報責任者(CIO)であり、2日に音楽レーベルEMIのデジタル部門のプレジデントに任命された。筆者のMerrill氏に対する印象はいい人であるがEMIに対して、場合によっては音楽業界全体に対して波風を立てるつもりのようだ。
これは、4大レーベルで最も規模の小さいEMIにとっては朗報だ。音楽の販売に全く実績のないMerrill氏を雇ったということは、デジタル流通とテクノロジが音楽の将来にとっていかに重要であるかを認識していることを示している。
大手レコード会社のデジタル部門を運営する責任者としてMerrill氏の持つ資格はどのようなものなのか。若いころに少数の音楽ファイルを共有した以外の経験はあまりないし、音楽を深く愛しているというわけでもない。Merrill氏はインタビューのごく早い段階で、まだ音楽業界の問題を治療するためのすべての処方せんを持っているわけではないと述べた(「自分のデスクがどこにあるのかも知らない」とMerrill氏は言い添えた)。
しかし、Merrill氏はインターネット、デジタル流通、イノベーションについて、Googleで学んだすべてのことを適用するつもりだ。今後EMIでさまざまなビジネスモデルや流通モデルの実験が見られることを期待しよう。
「実験してデータを追跡しなければならない」とMerrill氏は言う。「われわれには直感があるためにそれがしばしば困難になる。問題はわれわれの直感がいつも正しいとは限らないことであり、Googleがそのことを繰り返し示してくれている。われわれは『サイトはこのように動作するべきだと思う』ということについて内部で議論したことがある。われわれは実験をやってみて間違える。そして、『Xだと思っていたが自分は間違っていた。それは実際にはYだった』と喜んで言えるようになるべきなのだ。それでかまわない。失敗してもかまわないのだ。なぜならわれわれが試すほとんどのことはうまくいかないのだから。だからこそ実験と呼ばれるのだ。そうしたことはわたしの心に染みついている」
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