プログラマーたちは、大企業がこれほどまでに自分たちを大事にしてくれることに驚いているかもしれない。
Yahooといえば、数百万人が利用するコンシューマー向けインターネットポータル企業として広く知られた存在だ。そのYahooでは現在、「ソフトウェア開発者」という新しいユーザー層を取り込むための改革が進行している。
Yahooは開発者向けイベント「Hack Day」を9月に開催したが、今回は初めて社外の開発者にも公開された。同イベントでは、参加した社外開発者とYahoo社内のエンジニアが、Yahooのオンラインサービスを利用した「マッシュアップ」ウェブ アプリケーションをその場で共同開発するという試みが行われた。
開発者との交流を持つためにYahooが幅広く実施しているHack Dayなどの取り組みは、パートナーとの多様なネットワーク、つまり、「エコシステム」の構築を真の目的としている、と同社幹部は述べる。
写真共有から検索といったYahooの多彩なサービスを利用するアプリケーションをサードパーティー各社が簡単に構築できるようになれば、Yahooの各サイトのユーザートラフィックもおのずと増大する。同社幹部は、マッシュアップは、インスタントメッセージングサービスといったYahooの既存サービスの認知度向上にもつながる、と付け加えた。
「Yahooはもはやポータル企業の枠には収まらない。私たちには、Yahooはコミュニケーションアプリケーションのプラットフォーム企業だという自負がある」と、Yahooの製品戦略担当バイスプレジデントのBradley Horowitz氏は語る。
巨大インターネット企業Yahooが、開発者、特に新興 ウェブ企業の開発者に関心を移しているという事実は、アプリケーションのオンライン提供が増える中でウェブ開発パートナーが戦略上いかに重要かということを示している。
ウェブ企業の代表的存在であるAmazon.com、eBay、Google、Microsoftといった企業は、開発者との信頼関係構築に細心の注意を払ってきた。2005年3月に「Yahoo Developer Network」を立ち上げたYahooもまた、この方針に従っているということだ。
ツール開発企業各社に提供されているYahooのさまざまな試みは、同社の「カルチャー」になりつつあるとHorowitz氏は語る。同氏は、開発者向けのカンファレンス開催や、新サービス提供時のAPI 公開もその流れだ、と補足した。
「今日のような状況で企業が成長し、生き残っていくには、こうした努力が必要だ。と言っても、純粋に売り上げだけを見ているわけではない。これらの活動がエコシステムに与える影響を考えてのことだ」(Horowitz氏)
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