Windows部門再編に関するマイクロソフト社内メモ

文:CNET News.com Staff
翻訳校正:坂和敏(編集部)
2006年03月24日 23時24分

 Microsoftは米国時間21日、何年も前から続けてきているWindows Vistaの開発に再び遅れが出ていることを認めた。また同社は23日に、Windows部門とMSNの業務を「Live」戦略に沿ったものとするための組織再編を発表した。以下のメモは、同社の上級幹部が一般社員に宛てたメールだ。

From: Kevin Johnson
Sent: Thursday, March 23, 2006 10:01 AM
To: プラットフォームおよびサービス事業部(PSD)
Cc: 幹部社員
Subject: 成長と迅速化に向けたPSDの再編

 私は、昨年9月に新たな職務を担当することになったが、その時以来、Platforms and Services Division(PSD)を将来に向けてどう位置付けるのが最も良いかの検討にかなりの時間を割いてきた。そこで、私の考えの一部と、現在われわれが着手している新たな改革について皆さんにお伝えしたい。

 Microsoft発の技術革新に関する強力な波が、引き続き市場に押し寄せている。そして、PSDはこの波の大きな部分を占めている。われわれのサーバ/ツール部門が最近発売した「SQL Server 2005」「Visual Studio 2005」「BizTalk 2006」「Windows Server R2」などの製品は、顧客や提携企業から高い評価を得ており、現在、同部門は「Longhorn Server」の開発に注力している。Windowsクライアントチームは、引き続きWindows Vistaの開発を進めており、2月には最新のCommunity Technology Preview(CTP)をリリースした。またMSN部門は「Live Mail」「Live Messenger」、常に進化している検索技術やその他多くの「Windows Live」サービスなど、新しい革新的な技術を提供し続けている。MSN自体は、新たなチャネルの利用やコンテンツの提供が可能になり、拡大を続けている。これらの製品やサービスのリリースは、市場における強力な技術革新の波や勢いを示す証拠といえる。

 私はこの数カ月間、社員の考えに耳を傾けることに重点を置いてきた。これまでに100人以上の社員と1対1の面談を行い、さらに全員参加の会議や円卓会議で2000人以上の社員と話し合った。その結果、予想通りいくつかの共通するテーマが浮かび上った。幹部チーム内の話し合いの結果と社員の疑問、懸念、意見を総合した結果、われわれの部門が抱える重要な問題に対処する必要があるとの結論に至った。その問題とは以下の3点である。

・ソフトウェア/サービスに関するわれわれのビジョンを推進するために次にすべきことは何か。
・われわれがさらに注力すべき成長の機会は存在するか。
・どうすれば、われわれはより機敏に行動できるか。

 われわれが準備を進めてきた製品が市場に出つつあることから、いまはまさにPSDの将来の基礎を築くのに適した時期である。私はJim Allchinや他のPSDのリーダーらと協力して、将来われわれが(優位な)立場に立てるようにするための組織の確立に取り組んできた。これは非常にコラボレーティブなプロセスであり、われわれは多くの選択肢を検討した。われわれが今日発表するPSDの組織再編は、以下の目的により推進される。これらの目的は、多くの社員から得たアドバイスを元に考えられたものである。

1. ソフトウェア+サービス:
 Windows Liveに対するわれわれのビジョンに関連して、次の技術革新の波に向けた体制を整えること。Ray Ozzieと私は緊密に連携し、昨年11月に発表したLiveビジョンを推進し続けている。クライアント、サーバ、サービスにまたがるシームレスなエクスペリエンスを可能にするエンド・ツー・エンドのシナリオは、すべての顧客にとって極めて重要であり、Windows Vista + Windows Liveはこのビジョンの実現に向けた対応を開始する。各種のサービスをユーザーエクスペリエンスの提供手段として利用することにより、ソフトウェア/サービスのコンセプトの採用と、市場へのより迅速な技術革新の提供が可能になる。これを実行するには、Windows Liveプラットフォームを、われわれが開発者に価値ある提案を行うための鍵と考える必要がある。こうした変化により、Rayや彼のチームとの明確な関係が構築でき、それがLiveプラットフォームの構築や、Liveエクスペリエンス、Windows Liveをサポートするマーケティングの形成に役に立つ。

2. 成長:
 われわれの前にある重要な成長の機会に注力すること。それらの機会の具体例としては、オンライン広告、新興市場、企業向けコンピューティングインフラが挙げられる。われわれのサーバ/ツール事業はここ数年間、力強い成長を遂げており、さらに今後もその勢いを持続するための大きなビジネスチャンスがある。Windows Client事業には、プレミアム製品の提供や、新興市場向けの新たなソリューション、さらにライセンスを受けていないPCの数の削減などに成長の機会がある。Windows Vistaの発売をきっかけに、より広範な業界とパートナーのエコシステム全体で新たな成長の波が間違いなく起こるだろう。オンライン広告業界は2008年までに、350億ドル以上の規模を持つ市場に成長すると多くのアナリストが予想している。そうなれば、MSNとWindows Liveの両事業のビジネスチャンスも広がることになる。

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