Stefanie Olsen(CNET News.com)
2006/04/07 00:17
シリコンバレーにあるYahooの質素なオフィスの壁には、携帯型の鳥カゴなど、特許を取得している風変わりな品々を描いたポスターやスケッチが飾られている。これらの絵には重要な意味がある。鳥カゴで特許を取得できるなら、誰もが真剣に何かを考えることでビッグアイデアを思いつく可能性がある。これらの絵は、そのことをYahooの従業員に伝えるためのものだ。こうしたポスターは、同社が進めている「アイデア工場(Idea Factory)」プログラムを促進し、創業から10年になる同社で、創造的な考え方を活性化させるためのものだ。この10年の間に、インターネット大手から巨大メディア企業へと変貌を遂げた同社では、このアイデア工場プログラムを通して、同社の製品から職場環境まで、あらゆる事柄を改善するためのアイデアを提供するよう社員に呼びかけている。
Yahooのオフィスから5マイルほど離れた場所には、同社の宿敵Googleのオフィスがある。ここでは創造的な考え方が当たり前のこととされている。同社のエンジニアは週に1日、自分が興味を持つプロジェクトに取り組むことが期待されている。「Google News」や「Orkut」といった新サービスは、こうした制度なしには誕生しなかったといえよう。Nielsen NetRatingsによると、Google Newsは現在、1カ月当たり710万人ものユーザーを獲得しているという。
この2大企業がオンライン広告市場の覇権をかけた争いを繰り広げるなか、ある事柄がますます鮮明になっている。それは、両社の綱引きが「インターネット企業に求められる企業文化とはどのようなものか」を試すテストである、ということだ。数字が重視され、またハリウッド式の考え方がますます色濃くなっているYahooの環境のほうが優れているのか。それとも、年間売上高が40億ドルに達しようとしているGoogleの、知的な遊び場のような雰囲気のほうが勝っていて、今後も成長と反映を続けるのか。
どちらの企業文化がネット企業に適しているか。この問いに対する答え次第で、新たに設立されるネット企業に求められる事柄が変化し、長期にわたって影響を及ぼすことになるかもしれない。Yahooのほうが優れているとなれば、投資家はTerry SemelのようなCEOを強く求めるようになるだろう。長い間Warner Bros.の幹部として働いていた同氏は、メディアの世界に詳しく、また非常に生真面目な指令を出すことで知られている。それに対して、Googleが今後も圧倒的な急成長を続けた場合、投資家が求めるのはEric SchmidtのようなCEOになる。学校時代からその後のキャリアに至るまで、一貫して技術畑を歩んできた同氏は、技術に対して情熱を抱き、部下のエンジニアが脚光を浴びることに喜びを感じている。
「Googleでは、個々人が潜在力を発揮し、もしくはそれを越えて活躍することが期待される。そして、社員はこのために相当大きな裁量を与えられている」と、Geoffrey Mooreは述べている。ハイテク業界の識者として知られ、人気を博したマネジメント書「Crossing the Chasm」の著者でもある同氏は、Yahooにも以前はそうした面があったと指摘する。しかし、4年前にSemelがCEOになってから、同社は厳しい経営規律を持つ成熟した企業に変身した。そのせいで、初期に見られたような旺盛な創造性は失われてしまったのかもしれない。
YahooとGoogleは共通のDNAを持つが、途中から異なった道を進んでいる。Yahooの共同創業者であるDavid FiloとJerry Yangは、スタンフォード大学で電気工学の博士号修得を目指していた1994年に、最初の検索エンジン開発に取り組み始めた。その2年後、Google共同創業者のLarry PageとSergey Brinも同じスタンフォード大学の博士号課程の学生として、Googleの前身にあたる「BackRub」という検索エンジンの開発を始めた。Pageが住んでいた学生寮の一室をデータセンターにしていた2人は、1998年にGoogleを起ち上げる前、友人であるFiloにアドバイスを求める電話さえしていた。
現時点における両社の一番の違いは、創業者の経営に対する関わり方だ。GoogleではLarryとSergeyが今でも直接経営に関わっているのに対し、YahooではTerry Semelが2人の創業者よりもはるかに大きな発言力を持つ。FiloとYangは普段、日常のオペレーションに関わっていないと、Search Engine Watch.com編集者のDanny Sullivanは言う。「Google全社は今でも、LarryとSergeyの精神に染まっている」(Sullivan)
両社がぶつかり合うのは企業文化の違いだけではない。それぞれのビジネスも衝突する運命にある。両社は、同じウェブユーザーと広告費を奪い合っている。Yahooはこの3年間で、ウェブ検索や関連広告を中心とした中核ビジネスを再構築し、検索広告の売上ではGoogleに続く存在となった。また、同社の検索技術がGoogleの技術に追いつこうとしていると考える人間も多い。
一方のGoogleは、ほぼ同じ時期に、自社のビジネスを拡大し、同社幹部が時にやりたくないといっていたことをやり始めた。それは、Yahooのようなポータルサイトになることだ。同社はこの3年間で、無料ウェブメールやソーシャルネットワーキング、パブリッシングツール、地図、ショッピング、ニュース/ビデオ検索などのサービスを開始し、今ではブランド広告も扱うようになっている。
「両社はいつもお互いのことを意識している」と匿名希望のYahoo元社員は言う。「Googleが何を開発しているかはすべて把握していた。逆に、われわれが取り組んでいるものについて、Googleもすべて知っていた」(同元社員)
両社は、現在全世界で80億ドルの規模を持つ検索広告ビジネスで、さらに大きな市場シェアを得ようとしのぎを削っているが、Piper Jaffrayの予測によるとこの市場は今後5年間で220億ドルまで成長するという。さらに、利益率の高いブランド広告キャンペーンの一部として検索広告が使われる機会がますます多くなっている。全世界のオンライン広告市場は、前年の113億ドルから、今年は182億ドルまで伸びると、Goldman Sachsは予想している。
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