Tim YuのようなGoogleユーザーにとって、スパイウェアの脅威は軽視できない問題だ。
スタンフォード大学の研究員であるYuは最近、家族で使用しているパソコンの1台がBrowserAid/Featured Resultsと呼ばれるプログラムに感染していることに気付いた。このプログラムは、Googleの検索結果の上に不要なポップアップ広告を表示させるものだ。Yuはパソコンから何とかこのアプリケーションを除去したが、これと似た正体不明の別のプログラムのほうは結局削除できなかった。
Yuは、「レジストリから削除したにも関わらず、このアプリは自己修復してしまう」と述べ、スパイウェアメーカーの技術が高度になりつつあると指摘した。
これはGoogleにとっても大きな問題だ。これらの新種のスパイウェアは、検索エンジンの中でも非常に高い人気を誇るGoogleと、高収益の見込めるGoogleのペイ・パー・クリック広告プログラムに便乗して利益を上げようとしており、具体的には検索結果のページを改ざんしたり、あるいは独自のテキスト広告のリストを掲載したポップアップウィンドウを表示したりする。
スパイウェアとは、ユーザーの知らない間にパソコンに自らをインストールし、時に犯罪目的でユーザーがパソコンをどのように利用しているかを追跡するソフトの総称である。また、スパイウェアの関連ソフトであるアドウェアは、スパイウェアほど侵略的ではないが、ユーザーにとってはより迷惑な広告配信を目的に設計されている。
スパイウェア/アドウェア業界は、検索エンジン広告を巧みに利用して急成長を遂げた。今や検索エンジン広告は、オンライン広告の中でも最も利益率が高く、急拡大を続けている分野だ。市場調査会社のeMarketerによると、今年の検索広告の総売上はおよそ32億ドルに達する見込みだという。これは前年の25億ドル、2002年の10億ドル弱を大幅に上回る数字だ。Googleだけでも、今年の広告収入は10億ドルを超えると見られている。
スパイウェアをめぐる問題は、全くおさまる気配がない。セキュリティソフトメーカーのWebroot Softwareによると、最近行なわれたある調査で、「トロイの木馬」プログラムやスパイウェアのような監視プログラムの侵入の有無を調べるためにコンピュータをスキャンしたところ、3台に1台が何らかのウイルスや迷惑ソフトに感染していたという。米国議会でも、消費者保護を目的とした法の制定が必要なほど事態は深刻だとする声が上がっている。
数ある検索エンジンの中でもGoogleはとりわけスパイウェア開発業者の注目を集めてきた。人気スパイウェア検知ソフト「Ad-Aware」を販売するLavasoftの研究者らは、Googleの検索結果を改ざんする、あるスパイウェアを発見した。Gloggle.Shingという名で知られるこのソフトは、特定のウェブサイトにアクセスすると、ユーザーの知らない間にインストールされてしまうため、Ad-Awareでも高い脅威レベルに設定されている。なお、Lavasoftは問題のウェブサイトの名称は公表しなかった。
また別のスパイウェア対策企業のPestPatrolは、Googleの検索結果に影響を与えるアプリとして、数多くの亜種を持つBrowserAidというソフトを挙げた。同社によると、このソフトは提携サイトからダウンロードされたソフトを介してパソコンにインストールされ、その後ユーザーがGoogleで検索を行なうと広告のリンクが掲載されたポップアップウィンドウが表示されるという。
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