ITセキュリティ業界で買収ラッシュが続いている。
ここ数ヶ月で、数十億ドル規模の買収が数件成立している。これが引き金となって、買収のターゲットとなりそうな企業を狙った争奪合戦が展開されており、業界は混乱している。
6月には、ストレージ大手のEMCがRSA Securityを21億ドルの高額で買収すると発表した。8月には、IBMがセキュリティ業界の企業買収計画を発表し、Internet Security Servicesを13億ドルで買収する予定だという。そして9月、EMCがNetwork Intelligenceを1億7500万ドルで買収した。
「セキュリティは『あればよい』機能から『なくてはならない』機能に変わっており、米国中の企業がセキュリティ問題の解決に多額の費用を投じている」とMorgan StanleyのアナリストPeter Kuper氏は説明する。
また、新しい規制への準拠(コンプライアンス対応)に加えて取引先のベンダー数を減らしたいという顧客の要求が、こうした一連の企業買収に拍車をかけている、と銀行筋とアナリストは分析する。セキュリティ企業の買収を積極的に進めているのはシステム管理企業とネットワーク企業だ。彼らは、自社のシステムやアプリケーションにセキュリティ機能を組み込みたいと考えている。
「確かに現在、企業の吸収合併は進んでいるが、製品レベルで完全に組み込まれるまでセキュリティは独立した分野のままだ。製品レベルの組み込みにはまだしばらく時間がかかるだろう」とThinkEquity Partnersのアナリスト、Ranjini Chandirakanthan氏は指摘する。
同氏によると、それには、長ければ5年間、新製品の開発とリリースを繰り返す必要があるという。
セキュリティ分野の中でも買い手企業がとりわけ注目しているのは、データ漏洩防止ソリューションベンダー、およびID盗難対策ソリューションベンダーなどだ、とChandirakanthan氏は言う。
暗号化テクノロジー、侵入防止システム、電子データセキュリティ、コンプライアンス対応アプリケーションなども、買い手企業の注目を集めている、とGoldman Sachsの投資銀行担当部長Ian MacLeod氏は説明する。
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