検索サイトの舞台裏--グーグル幹部が明かす改善手法

文:Stephen Shankland(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2008年05月30日 16時52分

 サンフランシスコ発--Googleは、こと検索クオリティに関しては複数の顔を持っているようだ。

 Googleは、ABスプリットと呼ばれる手法を使って、同社のメイン検索ウェブサイト(簡素な検索ボックスと検索結果の両方について)どのような変更を加えるべきか検討している。Googleの検索プロダクトおよびユーザーエクスペリエンス担当バイスプレジデントであるMarissa Mayer氏は米国時間5月29日、サンフランシスコで開催されているGoogle I/Oカンファレンスで講演した。その中で同氏は、上記の手法について、Googleはユーザーに対し、デザインの異なる複数のページを表示し、その反応を測っていると説明した。

 Mayer氏によると、例えばGoogleは、ユーザーに対して表示する検索結果を何件にすべきかを探りたかったという。通常は、10件か20件、25件か30件といったところだろう。この点についてユーザーに直接質問すると、彼らはより多くの検索結果を表示して欲しいと答えた。しかし、実験では全く別の結果が出た。

 Mayer氏によると、検索結果の件数を1ページ当たり30件に増やしたところ、ユーザーの検索は全体的に20%減少したという。Googleがサーバーログを綿密に分析した結果、この検索の減少は、検索リストが長いと表示におよそ2倍の時間を要するためだと分かった。つまり、表示速度が重要なのだ。

 「表示速度が上がれば人々はより多く検索し、逆に速度が下がれば人々の検索は減少する」(Mayer氏)

 これと同じ現象がGoogle Mapsでも見られた。Googleが120Kバイトのページサイズをおよそ30%縮小したところ、地図のリクエストがおよそ3割増加したのだ。「表示速度と利用率の関係は、ほぼ比例する。より素早く製品を提供すれば、利用の増加という形で返ってくる」(Mayer氏)

Googleの検索プロダクトおよびユーザーエクスペリエンス担当バイスプレジデントであるMarissa Mayer氏
提供:Stephen Shankland/CNET News.com

 またGoogleは、ABスプリットテストの結果を受け、同社のロゴや検索結果ページに表示される他の要素の周りの余白部分の割合も改めた。さらに、業界では広告の背景の色は淡いブルーが通例だが、Googleはそれを淡黄色に変更した。Mayer氏によると、その結果、広告のクリック回数が増えただけでなく、一般に検索率も向上したという。

 これらがMayer氏にとって関心の高いテーマであることは間違いない。同氏はエンジニアだが、設計の芸術的部分にも関心を持っているからだ。

 Mayer氏は、「一般にウェブ上では、(ウェブサイト制作は)芸術よりも設計の要素の方がはるかに大きい」とし、「細かな違いが数多く見つかり、どちらが正しいかを数学的に知ることができる」と付け加えた。

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