2007年10月末、Googleが特定のウェブサイトのPageRankを一斉に下げたことが話題となった。日本でもニュースサイト「japan.internet.com」や「六本木経済新聞」、IT専門書籍販売サイト「SEShop.com」、地図サービス「Mapion」、「MapFan Web」などのPageRankが顕著に下がっている。
そもそもPageRankとはどのような仕組みで、何を表しているのか。そして今回の下降の原因とは何だったのだろうか。
PageRankとは、Googleツールバーなどから確認できる、0〜10の数値でサイトを評価した独自指標だ。数値が高いほど重要なサイトということになる。ただ、これはGoogle検索のアルゴリズムの氷山の一角であり、PageRankをもってすべての検索結果の順位が決定されるわけではない。あくまで、基本的にユーザーから視認できる唯一の数値的指標であるというだけだ。
では、なぜ特定サイトのPageRankが相次いで下がったのだろうか。それはGoogleの検索アルゴリズムと関連してくる。基本的にGoogleは多くのサイト、あるいは重要なサイトからのリンクを評価してサイトの重み付けをし、検索結果の順位を決定している。つまり外部サイトから特定のキーワードでリンクを集めれば、そのキーワードで検索された際に表示順位が上がることになる。このリンクポピュラリティと呼ばれる仕組みの結果として、SEO目的でリンクを張るというビジネス「Paid Link」(有料リンク)が生まれた。
アイレップ SEM総合研究所所長の渡辺隆広氏によれば、検索エンジンは「ページ内要因とページ外要因によって検索順位を決定している」という。ページ内というのは、例えばタイトルにキーワードを入れる、本文の中で関連するキーワードを使う、論理構造をはっきりさせる、といったことだ。一方のページ外要因とは、簡単にいえば他サイトからのリンク獲得である。
「いまの検索エンジンのランキングの仕組みは外部の影響が非常に大きい。そうするとSEOを行っている側からすれば、いかに“良いリンク”を集めるかに焦点があたります。ただ、そうなったときにリンクを集めるのは非常に大変です。面白いコンテンツを出して、みんなにブックマークされて、あるいはブログで紹介されて、多くのメディアに取り上げられて話題になるなど、そういったことができる企業は本当に限られています。そこで短い期間で簡単に自分たちにとって都合のいいリンクを獲得する方法はないのか、と考えるようになります」(渡辺氏)
そうして、2004年〜2005年頃に登場したのが、いわゆる今回話題となっている有料リンクだ。お金を払えば、自分の希望通りのPageRankのサイトからアンカーテキストでリンクしてもらえるという手軽さで、専門に取り扱う業者もいる。
これによって何が起きたかというと、純粋にサイト内の情報だけではなく、外部サイトから有料で買ったリンクを散りばめたサイトが検索結果の上位に表示されるようになったのだ。ある人気キーワードでは、有料リンクを購入しなければもはや上位表示は望めないという。こうした状況は、検索利用者に不利益を与えると判断したGoogleが対策に乗り出した結果として、まずは有料リンクを販売しているサイトのPageRankが下降したと見られている。
GoogleのエンジニアであるMatt Cutts氏はSearch Engine Journalの取材に対して、「The partial update to visible PageRank that went out a few days ago was primarily regarding PageRank selling and the forward links of sites.」(数日前に実施したPageRankの部分的なアップデートは、主にリンクを販売しているサイトに関するものだ)と明言している。
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