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資金調達のケーススタディ--成功の鍵は売り上げ確保

2007/11/09 08:00
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 ファイナンスコーディネイトを考える時「お金を集める」という意味だけにとらわれがちです。しかし実際は、ファイナンスコーディネイトを成功させることで、営業力を飛躍的にアップさせることができます。つまり、CFO(財務責任者)であってもCMO(営業責任者)を凌駕する力を発揮することができるのです。

 今回は、増資の失敗例と、増資の成功が事業の成功につながった例、または成功へのきっかけに導いた例を具体的なケースをもとにまとめたいと思います。

失敗のケーススタディ

 あるベンチャー企業は先進的な技術ノウハウを持ち、それをもとにして資金調達を実施していました。ところが、膨大な研究開発費用をすべて増資で対応するという方針だったため、経営陣が株式のシェアを確保するというバランスを考慮すると株式数が増え、時価総額が異常に高くなっていました。そのままいくつかのラウンドに分けて資金調達を重ねましたが、事業の進捗としてなかなか結果が出ず、売り上げも頭打ちとなり、だんだん時価総額に見合わない業績となっていきました。すると、今度はそれまでと違って資金が集まらなくなり、そのまま資金ショートしてしまったのです。

 この例は、第3回のコラムでも紹介しましたが、あまりにも無謀な資本政策を立てていたということや、事業計画を実現できなかった場合の資本政策について一切検討していなかったことが問題となります。こうなってしまうと株価を下げることでしか資金が集まらず、その結果として、従来まで応援してくれていた株主を裏切ってしまう行為につながってしまい ます。

 失敗につながったポイントが何かというと、やはり資本政策に対しての考えが浅かったことだと言えます。ただ、この件に限らず、ベンチャー企業は大局として時価総額を上げすぎたために調達不和を起こして失敗するケースがかなり多いので注意が必要です。

成功のケーススタディ1

 業務改善システムを作っているあるベンチャー企業では、そのシステム開発への投資(技術者の雇用にかかる運転資金)を補完する方法として第三者割当増資を実施しました。そのポイントは以下です。

  • ある上場企業(A社)を割り当て先とした第三者割当増資を実施
  • A社のコールセンターに対して業務改善システムの導入
  • A社と合弁会社を設立し、そのコールセンターを分離
  • 合弁会社を連結子会社とする
  • 合弁会社の業務改善システムにより、利益を最大化

 このような手法により、このベンチャー企業では資金調達だけでなく合弁会社を連結子会社にし、売上高を連結にして年間数億円の売上高と数千万円の営業利益をつけることができました。さらには、その実績を広報で活用することにより、販売力も大幅にアップしました。一方、出資した上場企業側も、コストとなっていたコールセンターを自社から切り離し、さらに収益化する会社にすることができたということから非常に大きなメリットが出たわけです。

 このケースでは、資金調達が年間数億円の売上高、多大な信用力、導入実績、というあらゆる角度での自社利益と他社利益を追求できた成功事例だといえます。

成功のケーススタディ2

 モバイルコンテンツの総合コンサルティング事業をしているあるベンチャー企業では、業容拡大とシステム投資を補完する方法として第三者割当増資を実施しました。そのポイントは以下です。

  • 調達予定額の半分の額を、ある上場企業の事業会社に第三者割当増資として実施
  • 割当先の上場企業のシェアを20%超として持分適応会社となる
  • その信用力を担保として、都市銀行から低金利の融資の長期借り入れを実施

 このケースでは、上場企業の持分適応会社になってその信用力を利用し、融資による資金調達を実施しています。増資だけで対応するのではなく、融資を絡め、かつ信用力を得て推進力を高める工夫をしたという成功事例だと言えます。

増資のためのチェックポイント

 増資を検討するにあたっての今一度の確認事項として、以下の項目を再度検証してみることをお勧めいたします。

  • 時価総額は高すぎませんか?本当にその時価総額にみあった営業成績がある、もしくは、その実現性に可能性がありますか?
  • 増資をすることで資金補充はされると思いますが、売り上げは増えますか?利益は増えますか?信用力は上がりますか?
  • 割当先は反社会的勢力ではありませんか?もしくは世間的な評価として、評判の良い会社ですか?

 上記の3つは最重要チェック項目です。これらに自問自答を繰り返し、納得のいく割り当て先であれば、ぜひ増資をすることで貴社事業の発展に寄与することと思います。ただし、どれかに不安要素があると、その不安要素はいずれ数カ月先、もしくは1〜2年先に表面化してくることになりますので、妥協のないように資金調達活動をすることを念頭に入れていただきたいと思います。

未来予想パートナー
中村知子

会計事務所での様々な業種の会計・税務コンサルティングの実務経験。その後、転職を機にIPOに向けた管理部門整備の経験を経て、現在、未来予想株式会社にてベンチャー・中小企業向けの経営企画・管理・財務部門のコンサルティングならびに実務支援の専門家として活動中。


未来予想の主なベンチャー支援向けサービス:「EIP型マネジメントASP Miraizβ(登録無料)」、資金調達支援サイト「資金調達.bz」(登録無料)

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