インターネットを使えば、およそ検索できないことはないと思われるほどに、何でも検索して調べ出すことができる現在。しかし、検索結果を過信しすぎてはいないだろうか。その検索結果は、はたして「本当に自分が求めていた情報」なのか。そして、あまりにも簡単に、自分の情報を検索エンジンに渡してしまっていはいないだろうか。
検索エンジンは今や、Google、Yahoo!、MSNなどの大手以外にも、Flickrやdeliciousなどサービス内の検索機能にまで利用範囲は拡大し、機能も拡張されている。本書では、まずは、検索エンジンの仕組みと、検索エンジンを人がどのように利用するのかが紹介され、人間の生活や社会にすっかり浸透した検索エンジンの実体を明らかにする。
そして第5章では、検索エンジンにおける検閲の問題として、Googleの検索結果が国の状況によってフィルタリングされる例を始めとして、いくつもの「検索結果の調整」事例について論じられている。その是非を問うのではなく、フィルタがあるという事実を知っておくべきだというスタンスだ。
また、プライバシーについても問題を提起している。自分の評判を知るために、自分の名前を検索エンジンで調べる行動は、それほど深刻な問題にはならないが、企業の人事担当者が応募者の名前を検索したときに、別の怪しげな人物を応募者本人であると勘違いする可能性は問題だ。
今後、検索エンジンの重要性は増すばかりだろう。そのような社会で「検索エンジンの持つ力」を十分に知っておくことは、決してムダにはならないだろう。
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