「プレゼンの準備をするぞ」とおもむろにPowerPointやKeynoteを起動する。しかし、何かが根本的に間違っているように感じられはしないだろうか。プレゼンテーションは本来ソフトウェア主体でするものではないはずだ。では、効果的なプレゼンテーションをするには、何をすればいいのか。その疑問に丁寧に答えてくれるのが本書だ。
コンピューターに向かう前にまず、紙とペンだけでブレインストーミングをし、ストーリーを練る。伝えたいことを分かりやすく効果的に表現するには「物語」が大切だという。スライドでの見せ方や自分の見せ方を考えるのは、もっと後になる。
デザインについては「禅の美学」を引き合いにだし、余計な文字、写真、図、色などをすべてそぎ落としたシンプルで効果的な表現を目指している。そのため、たくさんのスライドサンプルの改善前と改善後を並べて示すだけでなく「なぜそれではいけないのか」が詳細に解説されている。
面白いのは、プレゼンテーションの本番での態度や心構えについてもアドバイスがあることだ。「その場に集中する」「深刻に考えすぎずに明るく」などの具体的なアドバイスは、緊張や失敗を恐れる気持ちを和らげ、勇気づけてくれる。ここまで読めば、あとは次回のプレゼンテーションから実践あるのみだ。
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