「firestorage」は、無料で使える国産の大容量データ転送サービスだ。高いシェアを誇る「宅ふぁいる便」などと同様、サーバを介して大容量ファイルを転送するためのウェブサービスだが、本サービスはディスク容量が無制限、使い放題であることが大きなメリットだ。しかも利用にあたって会員登録が必須でなく、誰でも利用できてしまうのだから驚きである。
利用方法は簡単そのもの。保存期間を指定したのち、アップロードボタンを押してファイルを指定すると、すぐさまサーバへのアップロードが開始される。完了するとダウンロード用のURLが表示されるので、これをメールに貼り付けて相手に送信すれば、簡単にファイルを共有することができる。
容量は無制限だが、一度にアップロードできるファイルは2Gバイトまで、かつ同時に20個までという制限がつく。従って2Gバイトを超えるファイルを送る場合は、ファイル分割ソフトなどを併用するか、何回かに分けて送ることになる。
それでも、一度のオペレーションで1層のBlu-ray Disc(25Gバイト)分のファイルを丸ごと送れてしまうわけで、なんとも太っ腹である。なお、アップロードされたファイルは最大で7日間保存され(例外もある)、その後は自動的に削除される仕組みだ。
また、会員登録をすると、前述の機能に加えてパスワードによるアクセス制限や、ダウンロード回数の制限、ダウンロード通知メールなどの機能が利用できるようになる。中でもアップロードしたファイルをZIP形式でまとめてダウンロードできる機能は、受け取り側の労力を減らしてくれる秀逸な機能だ。このほか、専用回線が利用できる有料版(60日ごとに3980円)や、保存期間に制限のない上位サービス「firedrive」も用意されている。
容量無制限や会員登録不要といったメリットに注目が集まりがちだが、サイト上の広告表示が過剰でなく、すっきりシンプルなインターフェースであることも、ユーザーにとっては大きな魅力だ。
ファイル共有サービスやオンラインストレージでは、アップロード/ダウンロード画面に多数のバナー広告を入れて収益を得ていたり、DMの受信を必須とする場合が多いが、firestorageはそうした広告の存在がほとんど気にならない点は、高く評価されるべきだろう。
弱点として挙げられるのは、無料版ではSSLが利用できないことだ。ダウンロードURLそのものは暗号化されており第三者に偶然探り当てられる可能性は低いが、セキュリティ上不安があるという場合は、ファイルをアップロードする際にあらかじめパスワード付のZIP形式にしておいたり、ファイルの保存期間を短かくしておくなど、自衛策を取ることをおすすめする。
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