ソニーのノートPC「VAIO type P」を2カ月ほど使ってみた。機種は店頭販売モデルの「VGN-P70H/W」。CPUはインテル Atom Z520と製品ラインアップ中でもっとも低スペックだが、実際の使い心地にはどう影響するだろうか。ほぼデフォルトの状態で使ってみた。
ポケットスタイルを謳うだけあって、本当にポケットに入れても気にならないサイズだ。製品発表会では女性がスリムなデニムパンツに窮屈そうに入れていたが、ジャケットなら外側のポケットにすっぽりと入った。手ぶらで出勤も十分可能だった。
打ち合わせ先や取材先でポケットからtype Pを取り出すと、それなりに注目を浴びることがわかった。「ちっちゃいですね!」「ポケットに入れてるところ写真撮らせてください」「ちょっと触らせてください」と盛り上がる。話のきっかけ作りにもポケットスタイルPCは貢献してくれた。
取材でtype Pを使ってみると、キーは打ちやすく、会見やインタビュー中のメモに使ったり、速報記事を掲載したりもできた。ThinkPad X31と比べてもタイピングのしやすさは遜色ない。横幅245mmのコンパクトボディながらキーボードの横幅が通常のノートPCとそれほど変わらないため当然かもしれない。タイプミスをすることはほとんどなかった。
強いて言えば、打鍵感の違いは気になる。カタカタと小気味よく打ち込めるThinkPadに対し、type Pではスッと音もなく打ち込める。これはこれで静かでいいが、入力している感覚も捨てがたい。もちろん慣れもあるだろうし、好みの問題でもある。
これも慣れだろうが、「半角/全角」キーの位置には戸惑った。多くの機種で「半角/全角」キーは「1」キーの左隣にあるはずなのだが、type Pでは「Esc」キーと「F1」キーに挟まれている。こんな地味な場所に追いやられた「半角/全角」キーを自然に押せるようになるには時間がかかりそうだ。
ポインティングデバイスであるというところも、キーボードから指を動かさなくていいので、使いやすい…はずであったが、それほどでもなかった。CPUの処理の遅さが響いているのかもしれない。
type Pは通信販売のオーナーメードモデルであれば、CPUをAtom Z540(1.86GHz)、Z530(1.60GHz)、Z520(1.33GHz)から選べるが、店頭販売モデルはZ520に限られている。
使ってみると、やはりZ520は遅い。一番の問題はポインティングデバイスの動作に影響することだ。ポインティングデバイスとセンターキーで画面をスクロールしようと試みると固まってしまうことがよくある。そして左右クリックがどちらも効かなくなる。
ウィンドウを切り替えたり、フォルダやファイルを選択したり、ダブルクリックしたり、あらゆるクリック動作が効かなくなってしまうので、操作性は非常に厳しい。
この状態は再起動するまで続く。急ぎの仕事のときなどは大きな時間的ロスになってしまうため、取材中はなるべくポインティングデバイスとセンターキーによるスクロールを使わないように心がけた。結局、ウィンドウのスクロールバーを使うか、マウスのセンターボタンでスクロールするしかない。
会議に持ち込んで議事録をとったり、打ち合わせ先に持っていってプレゼンしたりなど、仕事用メインPCとしてガシガシ使いこなすのであれば、やはりオーナーメードでAtom Z540を選択するのをお勧めしたい。デスクトップPCやパワーのあるノートPCと組み合わせてセカンドマシンとして利用するのであれば、社内外で取り回しやすいtype Pの持ち味を活かせるだろう。
デスクでセカンドマシンとして使うなら、話題のウェブサイト「美人時計」を表示しっぱなしにしてみてはどうだろう。このサイトは女性が時間を書いた黒板を掲げて、1分ごとにカウントしていくというもの。ブログパーツやiGoogleガジェット、モバイルサイトなども展開しているが、どうしても画面が小さい。
そこでtype Pでブラウザを立ち上げ、フルスクリーンで美人時計を開いてみる。スクリーンセーバーをオフにして、デスクトップのモニターの真下にtype Pを置く。すると、完全に美人時計専用端末として使える。「外出先での作業はtype Pで、社内ではメインPCで」という人も、せっかくのtype Pを社内で遊ばせておくのはもったいない。時計専用サブディスプレイとして使うのもアリだ。
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