これまで、外出先や移動中などにPCを使いたいのなら、モバイルPCを持ち運ぶしか方法はなかった。しかし、NECの新シリーズ「Lui」の登場によって、シンクライアント(PCリモーター)を用いて外出先から、自宅などのメインPC(サーバPCとなる)にアクセスするという、PCの新たなモバイル利用方法が実現できるようになっている。
この、サーバー上でアプリケーションを動かし、シンクライアントでその結果を表示するというソリューション自体は以前からあったしくみだ。しかし、これまでのシンクライアントは企業向けに作られており、個人が使うには高価であったり、設定が難しかったりとハードルが高かった。一方でLuiはコンシューマーをターゲットにした製品であり、誰でも簡単にサーバー・シンクライアントシステムを構築することができるのだ。
この「サーバー・クライアントシステム」(=PCオンデマンド)を実現するのが、VALUESTAR GタイプR LuiとPCリモーターの組み合わせである。NECでは、Lui対応のシンクライアント端末のことを「PCリモーター」と呼んでいる。PCリモーターは、その名の通り、メインとなるPC(サーバPC)をリモート(遠隔)で操る端末であり、どこからでもPCを自由に操作できる液晶画面付きのリモコンだと思えばよい。
LuiはこのPCリモーターを持ち歩いてスマートに使いこなす、スタイリッシュなイメージが先行しているが、実はスタイリッシュなだけでなく、パワーユーザーにとってかなり実用的なシステムだ。たとえば、拡張性やスペックでデスクトップPCを選びたくても、外出先でデータの参照や更新を行う必要があってノートPCを選ぶしかないというユーザーもいるだろう。「自宅のPCをリモートで“今”操作したい!」と思った経験もパワーユーザーほど多いだろうし、便利さをイメージしやすいのではないだろうか。
Lui対応PCリモーターとしては、現在、ノートタイプの「Lui RN」とポケットタイプの「Lui RP」の2製品が用意されている。このふたつは液晶サイズや解像度などは異なるが、基本的な機能は同じ。携帯性を重視するならコンパクトで軽いLui RPを、液晶サイズやキーボードの使い勝手を重視するならLui RNを利用することになる。ここでは、モバイルPCを持ち歩くかわりになるソリューションということで、ノートタイプのLui RNを取り上げよう。
このノートタイプのLui RNを実際に目にすると、一見して普通の薄型モバイルPCのような印象を受ける。ただし、一般的なモバイルPCに比べてはるかに軽くてスリムで、重さもわずか約649g。ボディの厚さは最薄部が約15.8mm、最厚部でも約23.9mmと非常にスリムだ。
携帯性を重視したモバイルPCでも1kgを超える製品が多いので、はじめてLui RNを実際に持ち上げたときはその軽さに驚いた。モバイルPCをカバンに入れると重くなってしまうので嫌だ、という人も多いだろうが、Lui RNなら、その重さも大幅に軽減できる。普段から持ち歩く荷物が多いユーザーや、本体の重さが気になる女性の持ち歩きにもオススメだ。
PCリモーターであるLui RNが、遠隔操作するメインPCとなるのが「VALUESTAR GタイプR Luiモデル」となる。VALUESTAR Gタイプ Luiモデルには、PCI Expressスロットに「PCリモーターサーバボード」と呼ばれる拡張ボードが装着されている。このPCリモーターサーバボードは、NEC独自のデータ圧縮技術を実装した専用LSIが搭載されており、サーバーとなるPCの画面や音声の情報を圧縮し、ネットワーク経由で離れた場所にあるPCリモーターに転送する役割を果たす。NECは、この技術を「リモートスクリーン・テクノロジ」と呼んでいる。
ホームサーバPCの役割を果たすVALUESTAR G タイプR Luiモデルは、高性能なスリムタワーPCだ。CPUにクアッドコアの「Core 2 Quad Q6600」を選択したり、ブルーレイドライブを搭載することもできるなど、デスクトップPCならではのハイスペックと拡張性が魅力だ。以降で、さきほどのノートタイプのPCリモーター、Lui RNと組み合わせた使い勝手をご紹介したい。
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