これまでの人生、私のテレビの視聴時間は常に人の平均以下だった。小学生の頃は夜8時以降のテレビ番組を見ることを許されず、それを不満に思うこともなかった。大人になった今も、ニュース番組と明石家さんまさん司会のバラエティー番組を時々見る程度だ。そんな「テレビっ子」とはかけ離れた生活を送っていた私が今、「こんなにたくさんテレビを見たことは今まで一度もない」というほどテレビにハマっている。人生初のテレビっ子生活の到来だ。
一体何が起こったのか。別にテレビそのものが面白くなったわけでも、さんまさん以上のすばらしい芸人を発見したわけでもない。私をテレビっ子にした犯人は、「SPIDER Pro」というハードディスク(HDD)レコーダーだ。
SPIDER Proは、インターネット上で商品やサービスの評価サイトを運営していたPTPというベンチャー企業が開発したものだ。この製品には、テレビ好きの同社 代表取締役社長 有吉昌康氏のアイデアと、商品評価サイトにて得たユーザーの声が反映されている。
SPIDER Proに搭載されているHDDの容量は1.5Tバイトもしくは2.5Tバイト。この中に、8チャンネル分の全番組が約1週間分すべて録画されるようになっている。これさえあれば「見たい番組の録画セットを忘れた!」という悲しい出来事から永遠に開放される。また、HDDがいっぱいになると古い番組から自動的に上書きされるため、いらない番組を消去する手間も発生しない。保存しておきたい番組は、上書きされる前にSPIDER内の保存領域にコピーするか、DVDに保存すればよい。
多チャンネル全番組を録画するHDDレコーダーは他にも存在する。しかし、SPIDERが他のHDDレコーダーと違うのは、検索機能が充実している点だ。録画された番組やCMにインターネット経由でメタデータを付与するため、見たい番組が瞬時に探し出せるのだ。
SPIDERのメニューには、検索ページが用意されている。タレント名や企業名がリスト化されており、リストから好きなタレントや企業を選べば、録画された番組の中から関連番組を探し出す。しかも、「コーナー検索」機能を使えば、お目当てのタレントが2時間番組の中で10分程度しか登場していなくとも、そのタレントが登場する場面から再生されるようになっている。
これまでは、好きなタレントが出る番組を見逃さないようにするには、番組表でタレント名を必死で探すか、タレントの公式ホームページでスケジュールを確認するしかなかった。しかし、手間をかけてチェックするほど好きなタレントはいなくても、SPIDERを使えば簡単に検索できてしまうため、「あのタレント、どんな番組に出ているのかな?」と軽い気持ちで見る気になる。
例えば、「最近全然見かけないなぁ」と思って「松田聖子」を検索すると、松田聖子マニアのタレント森口博子さんが彼女について熱く語っている部分や、サンミュージック創立40周年で同社会長の相沢秀禎氏が「(松田聖子さんは)一番印象が強い」と語っている部分まですぐに探し出せてしまうのだ。
また、ふと故郷の母を思い出し、ちょっぴり母に似ている「市原悦子」を検索すると、彼女の代表作「家政婦は見た!」の再放送を発見。SPIDERを使い始めて数カ月、私はすでに「家政婦は見た!」を3本も見ている。さらに、「三原じゅん子がコアラとの離婚の本当の理由を某番組内で語った」などという噂を聞きつけ、何気なく「三原じゅん子」で検索すると、数日前の番組でもその噂の番組をすぐに探し出せる。芸能ニュースにそれほど興味がない私も、話題の番組がすぐに見つかるとついつい見てしまう。
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