Eシステム第3機種目となるこのE-500だが、兄弟機であるE-300より大きく変わったのはその外観であろう。E-300は異色とも言えるペンタ部のない箱形ボディであったが、このE-500ではペンタ部のある従来のカメラの形状を踏襲したものへと変更された。E-300が発表された際にはその形状に賛否が分かれたが、私個人的にはその形に理由があるのならば一切気にはならない。だが多くのカメラファンにはどうやら不評であったようだ。そういった営業的な理由もあってか、このE-500ではめでたくペンタ部復活となる。
もう一つの特徴として、ボディ重量435gとデジタル一眼レフとして世界最軽量を誇る。昨今のエントリー機の世界では軽量コンパクトが流行りとなっている。たしかに普段から持ち歩くには少しでも軽く、負担が少ないほうがよい。ただしむやみに軽量化してしまうと、撮影時に安定感を損ってしまい手ブレ等の原因になってしまう恐れもある。だがこのE-500はしっかりとしたグリップとオリンパス特有のレンズ左手側をカットしたL型レイアウトを採用することでホールドしやすくなっており、そのおかげでこの軽量ボディでも安定した撮影が可能となっている。またオリンパスEシステム独自のダストリダクション機構も搭載されている。CCDのホコリ問題には絶大な効果のあるこの機能はもはや欠かすことができない。このように地味ながらもカメラとして基本的に必要な要件を充たしつつ、そのエントリー機としての使命を担うために生まれたのが、このE-500である。
エントリー機としての使命を課せられたE-500だが、そこはやはり最新型デジカメ。この小さなボディにはオリンパス最新の技術と機能が詰め込まれている。Eシステムの最上級プロ機「E-1」が発売されたのは2003年10月。実に2年もの歳月が経つ。デジカメの世界で2年というと一世代の差だ。もちろんE-1のカメラとしての基本性能はプロ機として信頼が置けるものである。かく言う私もE-1をメイン機として使用しているひとりである。だが今回E-500を使用したことによりその進化には羨望を憶える。
大きな進化として挙げられるのは、まずその露出制御の正確さである。「E-1」「E-300」では数点であった測光点が一挙に49点へと大幅に増えた。そのおかげで今までは不得手だった逆光での撮影でもオート撮影が可能となっている。
またスポット測光を選ぶ際には標準のスポット測光に加え、ハイライトスポット測光及びシャドースポット測光を選択できるようになった。これらは白い物を白く、黒いものを黒く表現するための測光方式である。これはかつてオリンパスの銀塩フィルム一眼レフカメラ「OM-4」にて採用された機能である。このような機能を搭載してきたところににオリンパスという会社の永年にわたる技術と理念を感じてしまうのだ。
[純白のサテン布の上に置かれたシルバーのネックレス。]
[漆黒のビロード布に置かれたブラックボディーのカメラ]
E-500では露出の制御だけでなく、記録する画像の色あいも選択できる。撮影光の種類に合わせて選べるホワイトバランス設定とオートホワイトバランス、被写体にあたる光から取り込むワンタッチホワイトバランス機能。それらのバランスを微調整することも可能だ。色再現の際には「NATURAL」「VIVID」「FLAT」と仕上がりを選択することができる。また「モノトーン」「セピア」を選択して白黒写真表現とすることも可能だ。
また新搭載の2.5型大型液晶モニターは十分に撮影画像を確認でき、再生時には最大倍率14倍まで拡大できるようになった。E-1では最大4倍までしか拡大できなかったので、細かいピントチェックは不可能であったのだ。ただし屋外での強い光でも見やすい「ハイパークリスタル液晶」搭載と唱われてはいるが、実際にはその効果はあまり感じられない。やはり屋外では液晶画面での確認は目安と考えるのが無難であろう。
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