Appleは「iPad」を披露した際、同デバイスへのコンテンツ提供に関して、書籍出版社の大手5社と契約したことを発表した。しかし、多くの人が期待していた雑誌や新聞については、全く言及されなかった。
英国時間2月15日にFinancial Timesのウェブサイトに掲載された記事は、定期刊行物を発刊する出版社とAppleとの間に問題があることを示唆している可能性がある。
本質的なことを言えば、結局のところ、これは管理権の問題である。Financial Timesによれば、「購買者情報の所有権と価格設定が重要な問題として持ち上がっている」という。
書籍と雑誌、新聞の出版社を対象とするAppleの価格設定モデルは、同社が「iTunes Store」の楽曲を対象に設定しているモデルとほぼ同じである。つまり、コンテンツの提供元は売上の70%を受け取り、Appleはインフラストラクチャコストとサービス提供の対価として残りの30%を受け取るのだ。
Appleはコンテンツ提供元に対し、価格設定への一定の管理権も認めているが、新聞と雑誌業界はそれで十分だとは考えていない。新聞および雑誌の出版社らはFinancial Timesに対し、「この売上共有プランは、購読料のような繰り返し発生する料金には適していない」と述べた。
購読者情報も重要な問題だ。これは、業界が顧客の追跡を開始して以来、新聞社が自分たちで保持してきた情報である。新聞社はマーケティングや購読トレンド分析など、さまざまな用途にこの人口統計情報を活用している。
しかし、それが音楽であれ、アプリケーションであれ、動画であれ、Appleが顧客情報をパートナー企業と共有したことは一度もない。「iPhone」向けアプリケーション開発者もそうした情報を求めているが、それが聞き入れられる可能性は低い。
「これが交渉決裂の原因になるのだろうか。実際に、そうなる直前まで来ている」とメディア業界幹部の1人はFinancial Timesに話した。
Los Angeles Timesの報道によると、Appleはデジタル書籍などの出版物を保護するため、出版社に同社の「FairPlay」デジタル権利管理(DRM)技術の利用を提示する予定だという。デジタルメディア業界では、コンテンツの著作権侵害やコピーを防ぐために、DRMが利用されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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