スマートフォン向けチップ開発を手がけるARMは、ハイエンドの携帯電話が、まるでPC並みのハードウェア設計に近づくようになり、2010年には、携帯電話メーカーから複数のプロセッサコアを採用する初のモデルが発売されることになるとの見方を明らかにした。
つまり、ARMベースのプロセッサを採用する、AppleやPalmなどのスマートフォンメーカーは、アプリケーションプロセッサとも呼ばれるメインのプロセッサ内部に、デュアルコア以上の設計を備える新モデルの発売へと踏み切る可能性がある。
この流れは「iPhone」や「Palm Pre」といったハイエンドのスマートフォンにとっては、搭載ソフトウェアがますます高度なものになるのを受けた自然な成り行きでもある。
ARMのワイヤレス部門マネージャーであるJames Bruce氏は先日実施された電話インタビューで、同社の次世代プロセッサ「Cortex A9」に関して「間違いなく2010年には、デュアルコアのA9を搭載する携帯電話を目にすることになるだろう」と述べた。
Palm Preには現在、現行の「Cortex A8」がベースとなるプロセッサが採用されている。また、Appleブランドのチップが採用されたiPhoneのプロセッサもARMの設計がベースとなっている。
Bruce氏は「A8がシングルコアに過ぎないのに対して、A9はデュアルコアとなり、スマートフォンにさらなる大幅なパフォーマンス向上というメリットを提供する、クアッドコアにまで対応可能となる」と語っている。
Bruce氏は、携帯電話のデュアルコア対応は、比較的早期に実施されるべきだとも述べる。「デュアルコアへの移行は、非常にアグレッシブなものとなる。今後1年以内にも、(デュアルコア対応の)新モデルの携帯電話を入手可能となるだろう」と、Bruce氏は語った。
では、丸1日は持つバッテリ寿命というハードルを越えることが求められるスマートフォンにとって、大きな課題ともなる、消費電力に関してはどうであろうか?Bruce氏は「実のところ、A9で取り組んできた課題には、A8と比較して、より省電力性能を上げるという点も含まれている。デュアルコアのA9は、現行の65ナノメートルプロセスではなく、45ナノメートルプロセスで製造される」と述べた。一般的に、ジオメトリの縮小化により、プロセッサの高速化および省電力化も進むことになる。
さらに、Bruce氏は「最大負荷で動作するデュアルコアプロセッサであっても、おそらく消費電力がおよそ10〜20%アップするに過ぎず、日常的な利用であれば、実際のところはバッテリ寿命の向上という恩恵にあずかれるだろう」と説明している。
多くのメーカーは、非常に厳格に消費電力の制限を設けていると、Bruce氏は語りつつ、「一般的にメーカーは、プロセッサの最大消費電力として、300ミリワットという制限を設定している。モバイル分野において、これこそ絶対に守らねばならない、不動の制限ルールの1つである」と述べて、次世代のCortex A9プロセッサに関する説明を続けた。
これとは対象的に、現在、ネットブックで広く採用されている、Intelの「Atom」省電力プロセッサでも、一般的に2ワット(2000ミリワット)以上の電力を消費するとされている。とはいえ、Intelは、将来の「Moorestown」プロセッサではスマートフォンレベルの低消費電力に抑えることを目指すとしている。
一方、Bruce氏は、現行のCortex A8と、これまでのARMプロセッサ設計における速度比較についても語っている。A8でパフォーマンスが向上した要因としては、1クロックサイクルで、2つの異なる指令を実行可能となる、スーパースケーラ設計によるところが大きいという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
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