目覚まし時計になったり、フォトフレームになったり、iPod用の外付けスピーカーになったりと、さまざまな用途で利用できる米国発のガジェット「chumby」。5月18日に日本語正式版を発売し、日本市場向けに新しいウィジェットも公開された。
chumbyは現在、1種類のデバイスのみを販売している。だが、将来的にはchumbyというプラットフォームのOEM提供、広告ビジネスも視野に入れているという。まずは2009年のホリデーシーズンにもchumbyウィジェット対応のデジタルフォトフレームが米国の家電メーカーから発売される予定だ。
米国から来日したChumby IndustriesのCEO、Steve Tomlin氏はchumbyがデジタルフォトフレームに載ることで次のような使い方ができるようになると語る。「写真はもちろんのこと、インターネットにつなげていただければ動画も見ることができます。タッチスクリーンを使って送りたい写真を選んでおばあちゃんのところに送ったり、ゲーム、占い、天気、ニュースなど、さまざまなメディアのコンテンツを織り交ぜたりして見ることができます」(Steve氏)
chumby向けには現在、1200個以上のウィジェットが公開されているという。米国ではMTV、Washington Post、New York Timesなどの大手メディアがパートナーとなってウィジェットを配布している。
「なぜこんなに成長が早いかというとウィジェットがオープンソースだからです。Flashベースで簡単に開発できるので、作りたい方は自分から率先してウィジェットを作っています」(Steve氏)
日本の拠点ではハードウェアの設計、開発、生産を行う。chumby日本法人の吉岡氏は、「日本は家電メーカーが多くあります。さらにデジタルサイネージという観点でも、chumbyに引き合いがあるので、日本で家電メーカーの対応ができるように、かなり力のある子会社となっています」と述べる。
「日本ではデジタルフォトフレームの市場が非常に大きくなっています。2007年は3万台くらいしか販売されませんでしたが、2008年は25万台も売れています。また、これまでのデジタルフォトフレームはほとんどオフラインでした。これが完全にオンラインのトレンドになります。それを広めるには魅力的なコンテンツが必要で、chumbyのウィジェットがデフォルトになる可能性を秘めています」(吉岡氏)
企業向けにセールスプロモーションの仕組みとしてchumbyが利用されることもあり得るという。chumbyをデジタルサイネージ端末として売り込んでいく計画だ。
「たとえば、マクドナルドはクォーターパウンダーのビッグマウスキャンペーンで大成功しています。そういった広告を、chumbyを使って店頭に配信することもできます。また、某電力会社からも検討をいただいています。電力会社は家庭に1カ月にどのくらい電力を使ったかを知らせたいと思っていますが、家庭でインターネットを利用できない人が多くいるので、chumbyを使って情報配信をする方法もあるのです」(吉岡)
日本法人はコンシューマ向けの現行chumbyの販売、企業向けのセールスプロモーションツールとしての販売、家電メーカーへのOEMなど5種類のビジネス展開を検討している。
「2011年にアナログ放送が止まってデジタル放送になります。それまでに4000万世帯のテレビに買い替えが起きますから、家電メーカーはどうやってテレビを差別化するかを考えています。そこでchumbyのウィジェットを使ってインターネットコンテンツが見られるようになると、デジタルテレビの差別化になります。実は水面下でわれわれにコンタクトを取ってきています」(吉岡)
Steve氏は今後の売り上げについて、「現在はハードウェアの売り上げしかありませんが、時間がたつにつれてプロモーションツールやOEMライセンス、広告による収益も増えていくでしょう」と述べた。
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