シャープは5月29日、人間が知覚できる自然界の色を忠実に再現する「多原色ディスプレイ」を開発したと発表した。米国サンアントニオで5月31日から6月5日まで開催されるディスプレイの国際学会「SID(Society For Information Display」への出展が決定している。
今回発表されたのは、画面サイズ60.5型(1920×1080ドット)、輝度450カンデラ、コントラスト比2000対1、色温度が6500Kの多原色ディスプレイ。画素がR(赤)、G(緑)、B(青)の3色に、C(シアン:澄んだ青緑)とY(黄)を加えた5色のカラーフィルターからなるディスプレイと、専用の信号処理回路から構成される「マルチ・プライマリー・カラー技術」を採用しているとのことだ。
この技術により、人間が肉眼で認識できる色の領域において表現できる色再現範囲(色域)が広がり、自然界に存在する物体色の99%以上の色再現性を実現。従来の液晶モニタでは表現が困難だった海のエメラルドブルーの色や、金管楽器の黄金色、バラの赤など、自然界の色が忠実に表現できるという。
また、本技術を応用することで、バックライトからの光エネルギーを効率良く取り出すことができるため、省エネも可能になるとしている。
現在、工業用デザインやデジタルアーカイブの閲覧、ネットワークを介した遠隔医療、電子商取引などにおいて、実物の色や設計した色を忠実に表示するディスプレイの要望が強く、実物と同じ色の画像を再現するナチュラルビジョン技術の開発など、さまざまな取り組みが活発化している。
シャープでは、今後、本ディスプレイの基本性能をさらに高め、実用化に向けた取り組みを推進していくという。
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