「HDMIケーブルで接続したときと変わらない映像体験が、無線で楽しめる」――シリコンバレーに本社を置く半導体ベンチャーのTzero Technologiesは12月3日、ウルトラワイドバンド(UWB)を使い、無線でHD(高精細)映像を送受信するチップセットを公開した。国内の家電メーカーなどに向けて売り込む方針だ。
Tzeroは2003年創業。自社で製造設備を持たないファブレス型の企業で、大手ベンチャーキャピタルなどから8000万ドルの出資を受けているという。
2008年よりチップセットの生産を開始し、第1四半期の売り上げは100万ドルに達したとのこと。日本では日立製作所の薄型テレビ「Wooo」シリーズにおいて同社の技術が使われているという。ほかにもプロジェクターや医療製品、軍事用品などで採用されているとした。
今回発表したのは、ウルトラワイドバンド(UWB)を活用してHD映像を送受信する「Zero Wire 2.0」。フルHDの1080p/60コンテンツに対応し、伝送速度は300Mbps以上、遅延は16ミリ秒未満という。説明会の会場ではPLAYSTATION 3からテレビにHDコンテンツを送信し、HDMIケーブル経由のものと、Zero Wire 2.0を使った無線経由のものでほとんど差がないことをアピールしていた。
2009年第2四半期に量産を開始する計画で、リファレンスボードの価格は1個50ドル以下になるという。競合他社の製品は数百ドルはするとした上で、「OEMメーカーが1000ドル未満で製品を市場に販売できるようにするのが目標だ」(Tzero Technologies COOのバーナード・クレイサウワー氏)とした。
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