「iTunes」で入手した高画質(HD)の映像を旧型の外部ディスプレイで見たいという人がいたら、幸運をお祈りします、と言うしかない。
iTunesでレンタルするか購入するかした動画を手持ちのディスプレイで再生しようとすると、ディスプレイが「High-bandwidth Digital Content Protection」(HDCP)に対応していないために再生できないというエラーメッセージが表示されることに、一部のMacユーザーから不満の声が上がっている。
また、手持ちのノートPCやHDMI接続経由では、特定の標準画質(SD)のiTunesコンテンツしか再生できないことに不満を述べる人たちもいる。
この問題を最初に取り上げたArsTechnicaの記事では、Appleの新しい「MacBook」には、Philipsが中心となって開発した「DisplayPort Content Protection」(DPCP)という技術が使われていると報道している。
Appleの新しいMacBookおよび「MacBook Pro」で使われている「Mini DisplayPort」コネクタでは、DPCPを使って、DPCPまたはHDCPのいずれかに対応していないデバイス上ではiTunesファイルを再生できないようになっている。HDCPは、HDMI規格で使用されているコピー防止技術。DPCPは、HDCP技術をサポートしているが、ビデオエレクトロニクス規格協会(Video Electronics Standard Association)によると、HDCPよりも暗号の強度が高いと考えられている。
「Appleは、同社の『Apple TV』では、HDCPを使用してHDMIポートからのビデオファイルの再生を保護しているが、同社がハードウェアにHDCP DPCPを組み込んだのはわれわれが知る限り今回が初めてだ」とDavid Chartier氏はArsTechnicaの記事で述べている。
基本的にAppleは、旧型のディスプレイとは互換性のない新しい規格の採用を進めようとしている。以前からAppleは、必ずしも旧型製品ではうまく動作しない新技術を推進していく意向を示していたが、今回新しいMacBookとMacBook ProでMini DisplayPortコネクタを使用する決定を下したことで、今後同社製品にはDPCPとHDCPがもれなくついてくることが確実になった。
「AppleがHDCPに準拠することは、HD映像やテレビ番組を配信するコンテンツ企業にとって、必要ではあるが恐ろしい状況だ。このことにより、「アナログホール」が完全に閉じられ、合法的な使い方をしているノートPCユーザーにとっては実に腹立たしい結果になる」と「The Unofficial Apple Weblog」(TUAW)サイトのMichael Rose氏は述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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