ロサンゼルス発--コンテンツメーカーの一部は、消費者にデジタルダウンロードと物理メディアのどちらを選ばせるか争うよりも、停戦を呼びかけている。
彼らは、Blu-ray Discの物理フォーマットとしての寿命を擁護したり、一体いつになったらダウンロードが支配的な力を持つのか予想したりする代わりに、どうすれば、この2つが一緒に、消費者とコンテンツメーカーの両方に利益をもたらすことができるか注目した。まるで、2人の敵対するグループの女子高生が、協力すれば、これまでよりも一層の注目と人気を集められる可能性が高いことに気づいたかのようだ。
20th Century Foxのリサーチおよびテクノロジ戦略担当バイスプレジデントであるDanny Kaye氏は、「物理(メディア)、電子(ダウンロード)ビジネスのいずれかだと考えるのは間違いだ。これらは任意に選択するものであり、共存可能だ」と述べた。
ブロードバンドによるインターネットアクセスがどこでも利用できるようになれば、すぐにデジタルダウンロードが物理ディスクメディアを一掃すると幅広く考えられている。しかし、このことが実際に起こるまで、消費者がエンターテイメントの形態としてDVDを支持し続けるなど、細部で解決しなければならないことがたくさんある。
NPD Groupは米国時間9月16日、DisplaySearch HDTV Conferenceで、DVDの売り上げは横ばいだが、ダウンロードよりも依然大きいことを明らかにした。古い標準画質(SD)ディスクフォーマットは依然としてBlu-ray Discを大きく上回っているが、いずれ状況は変わるだろう。確かなのは、DVDを気に入っている人たちのほとんどは、Blu-rayを飛ばして、エンターテイメントのダウンロードを始めることはないということだ。
NPD Groupの上級業界アナリストであるRuss Crupnick氏は、「消費者の習慣はゆっくりと変わるものだ。ディスクがすぐになくなる可能性は低い」と述べた。
このことは数字によって裏付けられている。NPDは、高精細度(HD)テレビを所有し、HD放送を受信している消費者1500人に対し、自由に使える収入をどのような形で映画に使っているか質問した。52%が映画やテレビ番組のDVDを購入し、29%が映画やテレビ番組のDVDをレンタルし、6%がレンタルまたは所有する目的で映画やテレビ番組をダウンロードしていると答えた。
しかし、Crupnick氏が指摘した通り、これはゼロサムゲームではない。たとえば、NPDの調査結果によれば、「PLAYSTATION 3」の所有者はインターネットからゲームをダウンロードしているが、同時に物理的なコンソールゲームを購入したり、テレビ番組のDVDをレンタルしたり、映画のDVDを購入したりしている。
Disneyも消費者はどちらかを選ぶことはないと感じたようである。Walt Disney Studios Home EntertainmentのゼネラルマネージャーであるLori McPherson氏は、物理メディアとダウンロードは「予想以上に」共存していることが判明したと述べた。Disneyはどちらか一方に照準を合わせることはしないということだ。
「消費者は様々な映画やプログラムをいろいろな方法で消費したいと考えている。これらを制限することは、業界にとって良いことではない。しかし、コンテンツクリエーターとして、業界を健全に保つため、コンテンツのウィンドウの決め方について責任を持つ必要がある」(McPherson氏)
このことは、一部のコンテンツメーカーが、消費者が映画を購入すると、通常のDVDと、「Windows」または「Mac OS」に対応したフォーマットで映画のコピーを格納したDVDの2枚のディスクが提供されるデジタルコピーイニシアティブを試している理由の1つだ。
この始まったばかりのイニシアティブの成果を示す販売数量は明らかになっていないが、映画業界の方が、音楽業界よりもはるかに、メディア消費の習慣の変化に対して順応性があることがわかる。
もちろん、この停戦の呼びかけは、ブロードバンドが米国人の大半に行き渡り、ダウンロードがディスクをプレーヤーに挿入するのと同じくらい簡単になるまでの一時的なものだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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