アップル、App Storeから1000ドルアプリケーションを削除

文:Marguerite Reardon(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2008年08月11日 15時09分

 Appleの「App Store」で、購入するだけで自分がいかに金持ちかを人々に知らしめることができる価格1000ドルのアプリケーションケーションが販売されていた。しかし、Appleは何の説明もなしに同サイトからこのアプリケーションを削除した。一部のアプリケーション開発者からは、Appleによる同アプリケーションの削除について疑問の声が上がっている。

 ドイツ人ソフトウェア開発者であるArmin Heinrich氏が開発した「I am Rich(私は金持ちだ)」と呼ばれるこのアプリケーションケーションには、iPhoneの画面上に赤いルビーの写真を表示させる機能しかない。Appleは当初、この1000ドルのアプリケーションの公開を認めていたが、先週になってApp Storeから同アプリケーションを削除した。Los Angeles Times(LA Times)が同社ウェブサイトに掲載しているブログによると、これまでに8人が1000ドルでこの無用なアプリケーションを購入したという。8000ドルの売り上げのうち、およそ5600ドルがHeinrich氏の売り上げとなり、2400ドルがAppleの収入となった。AppleはApp Storeで販売されたアプリケーションの売り上げの30%を受け取っている。

 同アプリケーションを開発したHeirnrich氏はLA Timesに送った電子メールの中で、同氏自身はApp Storeの規則を破ったつもりはないのに、なぜAppleは同氏のアプリケーションを削除したのか分からないと述べている。Heirnrich氏はAppleから、同アプリケーションを削除した理由について何の説明も受けていないという。

 Appleがこのアプリケーションを削除したのは、提訴されるのを恐れたからではないか。ウェブ上では、一部の人々から、同アプリケーションの「購入」ボタンをうっかりクリックしてしまったとの不満の声が上がっていた。AT&Tなどの主要な無線通信事業者が、通信事業者に騙されて着信メロディなどのコンテンツのために繰り返し料金を徴収されるサービスに加入させられたと主張している原告と集団代表訴訟で和解し始めている。これを見たAppleが、自らの法的責任を最小化しようとしたとしても不思議ではない。欧州連合(EU)は、企業が携帯電話を通じていんちき商品を販売するのを許している無線事業者を厳しく取り締まっている。

 しかし、たとえ仮にAppleが同アプリケーションを削除する適切な理由があったにせよ、開発者らは、Appleが特定のアプリケーションに対するApp Storeの掲載を許可したり拒否したりする方法や理由、そしていくつかは削除されていることについて、Appleから通知がないことを懸念している。

 App Storeが2008年に入ってから初めて発表されたとき、同社最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏は、販売されるアプリケーションについて制限が設けられる可能性があると述べていた。同氏は、特にポルノは許可されることはないだろうと述べる。そのほかについては、かなりオープンな状態のままにした。現在、こうした漠然とした基準に対して一部の開発者らから不満の声が上がっている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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