Wall Street Journal(WSJ)は米国時間7月30日、Dellがこの数カ月にわたり、デジタル音楽プレーヤーをテストしていると報じた。WSJの記事(Dellのマーケティング担当者にとっては、間違いなく絶好の観測気球となるはずだ)によると、Dellは、早ければ9月にも同製品をリリースしたい考えで、価格は100ドルを切る可能性もあるという。この音楽プレーヤーは、Wi-Fiを利用してサードパーティーの音楽サービスに接続する予定だ。
前にも同じ話を聞いた気がするとしても無理はない。Dellは2003年に、自社の音楽プレーヤーを携えて音楽ビジネスに参入していたからだ。しかし、市場シェアは3%程度にとどまり、参入から3年後の2006年にDellは市場から撤退した。これはDellの消費者向けの取り組みのなかでも期待外れに終わり、結局断念することになった戦略の1つで、Dellはそのほかにも、テレビおよびハンドヘルド機市場への進出で失敗している。(ただし、モバイル市場にDellが復帰する可能性があるという報道もいくつか流れている)。
今度は、前回と状況が変わる可能性はあるのだろうか。Dellが、デジタル音楽プレーヤー市場で70%以上のシェアを誇る「iPod」に対する大きな脅威になるとは考えにくいが、絶対にないとは言い切れない。WSJの記事によると、Dellの音楽プレーヤーを支えるソフトウェアは、同社が1年前に買収した企業Zing Systemsによるものだという。また、Dellの音楽ソフトウェアが同社の新しいPCにプレインストールされる可能性もあるようだ。WSJの記事を以下に一部抜粋する。
ソフトウェアは、Dellの音楽プレーヤーをサブスクリプション型のオンラインサービスに接続するもので、Dellは2008年中にも同サービスをリリースする見込みだ。この新サービスでは、オンライン音楽プロバイダーとのライセンス契約を通じて、消費者が楽曲をダウンロードし、PCや携帯電話などの機器に転送できるようにする。Dellがテスト中の新しいプレーヤーは音楽の再生に特化したものだが、Dellは新サービスで、映画もダウンロード可能にし、PCなどの機器上で楽しめるようにする計画だ。新しいオンラインサービスの価格体系はまだ決まっていない。
もちろん、Dellには多くのパートナー候補がいる。Dellはすでに、PandoraやRhapsodyといった音楽サービスとも連携している。そして、WSJの記事では触れられていないが、9月にサービスを提供開始する予定の「MySpace Music」も、Dellの主要パートナーになる可能性がある。MySpace Musicは、4大レコード会社のうち少なくとも3社から、楽曲の提供を受けることになっている。
そうは言っても、Dellが結局、市場に参入しないという決断をする可能性もある。そもそも観測気球とは、そうした可能性を探るためのものだ。だが、Dellであれ、他のPCメーカーであれ、Appleがホームエンターテインメント分野でますます地位を確立していくなかで、こうした企業がいつまでも手をこまねいているというのも考えにくい話だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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