ソニーは家庭用ゲーム機「PLAYSTATION 3(PS3)」の事業について、2009年3月期に黒字化するとの見通しを示した。5月14日に開催された2008年3月期通期決算の発表会の場で明らかにしたものだ。
同社執行役EVP兼CFOの大根田伸行氏によれば、2009年3月期はPS3対応ソフトが増えるため、「ハードでは若干逆ザヤも起こるが、プラットフォーム全体では黒字化できるのではないか」という。これに伴い、ゲーム分野全体でも黒字化すると見込んでいる。
2008年3月期のゲーム分野の業績は、売上高が前期比26.3%増の1兆2842億円となった。PS3の売上台数が924万台と伸びたことが貢献した。また、PSP(プレイステーション・ポータブル)が好調だったことと、PS3のハードウェアのコスト改善で、営業損失は前期から1078億円改善し、1245億円の赤字にとどまった。
PS3について、大根田氏は「期の前半はソフトが十分に準備できていなかったため、大分苦労したが、後半は700万台を売り上げた。累計売上台数が1200万台に達したことで、それなりのプラットフォームとして確立できたのではないか」と自信を見せる。
PSPはカプコンのソフト「モンスターハンター ポータブル 2nd G」が大ヒットし、それに合わせる形でハードも売れ行きを伸ばした。2008年3月期におけるPSPの出荷台数は1389万台で、前期比46%増となった。
さらに、PlayStation 2(PS2)が「東欧、中東、アジアで前年以上に売れるなど、想定以上に底堅い」(大根田氏)といい、収益に大きく貢献した。
なお、ソフトの販売状況については、PS3が前期比3倍の5790万本、PSPが同1%増の5550万本、PS2が同20%減の1億5400万本となっている。
2009年3月期のそれぞれの売上見通しについては、PS3が1000万台、PSPが1500万台、PS2が900万台とした。ソフトについては、全体で2億5000万本の売り上げを見込んでいる。
PS3の今後の戦略については、「長期的なプラットフォーム戦略において、ネットサービスに投資するなど、採算を重視した方向に持っていこうとしている。数はあまり追わない方針だ」(大根田氏)として、価格改定には慎重な姿勢を示した。
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