Electronic Arts(EA)は、2002年に導入しあまり人気が出なかった仮想世界「The Sims Online」(TSO)を新しい名称と無料という新しい料金体系で再投入する予定だ。
「The Sims Online」として誕生した仮想世界は、今後は「EA Land」と呼ばれるようになる。
これはEAにとってかなり重要な動きだ。なぜなら、少なくとも認知度という点では完全に失敗だったゲームを再生するということを意味するからだ。このゲームは決して本当の意味では軌道には乗らなかったが、経済活動を取り入れた3Dソーシャル仮想世界の発展段階においてはきわめて重要な存在だった。
そしてTSO(と略して知られるようになっている)は、シングルプレーヤーゲームの先例としては決して多数のオーディエンスを集めなかったが、「The Sims」シリーズは突然登場してPCゲームのオールタイムベストセラーゲームとなり、多くのユーザーを仮想世界に案内し、その手ほどきをした。
実際今日でも、TSO自体から始まった「Second Life」や「There.com」のコミュニティーが存在する。
TSOが全く軌道に乗らなかった大きな理由の1つは、プレーヤーに対して自分のコンテンツを作成する機会を実際にはあまり与えなかったことだ。そしてThe Simsの作者であるWill Wright氏がTSOではコンテンツ作成の機会を提供すると約束していたので、これが特に多くのプレーヤーにとっては欲求不満の種になった。
しかしEAによると、今後EA Landではプレーヤーが自分のコンテンツを作成できるようになる見込みだ。
「オリジナルのSimsのゲームのように、目的はプレーヤーにゲームを完全にカスタマイズしてもらうことだ。しかし、EA Landではほかのプレーヤーがカスタマイズを見たり買ったりすることができる」とEAはTSOの元会員に向けた文書で書いている。
もちろんこれは、TSOでもそうだったように実際に機能する経済活動が引き継がれることを意味する。しかし、プレーヤーがより多くのコンテンツを作成できるようになることから、理論上、経済はTSOより複雑かつ深いものになる可能性がある。
EA Landがどの程度の人気を博すのかを断言するのはおそらく早すぎるだろうが、EAがもう少しましな名前を思いつかなかったのが残念だと筆者は言わざるを得ない。
筆者の推測では、EA Landが仮想世界空間に大きく食い込むのはなかなか大変だろうと思う。その理由の1つにEA Landがどのユーザー層を取り込もうとしているのかが明確に見えないという点がある。Second Lifeは評判を確立しているが、圧倒的なオーディエンスを獲得しているわけではない。There.comは相当数のオーディエンスがおり、ほかにも「Habbo Hotel」や「Club Penguin」といった子ども向けの仮想世界がある。
しかし、ふたを開けてみなければわからない。ひょっとすると最大の疑問は、EAがどの程度までマーケティングの労力をEA Landに注ぎ込むかということかもしれない。もしEAが企業からの多額の支援なしに、EA Landを単独でやっていこうとするなら、鳴り物入りで登場したときと同じようにすぐに衰退してしまうかもしれない。しかし、もしEAが全力でバックアップするなら、いつの日か大化けするかもしれない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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