米連邦控訴裁判所は米国時間3月17日、未成年者による暴力的なビデオゲームの購入を制限するミネソタ州法を無効とした2006年の判決を支持した。これにより、ビデオゲーム業界と言論の自由を標榜する勢力は、司法の場において新たな勝利を手にすることとなった。
このミネソタ州法は、ゲーム業界の評価基準で成人向けであることを示す「M」または「AO」に指定されているビデオゲームを17才以下の未成年者が購入またはレンタルした場合、最大25ドルの罰金を課すというものだった。
だが、連邦地方裁判所の判事は、施行予定日の前日になってこの法律を無効であるとする判断を示していた。この判事は、憲法違反の疑いがあるという点と「こうしたビデオゲームがミネソタ州の子供たちに悪影響を及ぼすことを示す証拠が不十分」である点を挙げた。
同州は第8連邦控訴裁判所に上訴した。しかし、3名の判事で構成される同法廷は、17日に公開された8ページにわたる意見書(PDF)で下級審の判決を全員一致で支持した。
ミネソタ州当局は、子供たちの快適な生活を保護するためのものであるとして、この法律の正当性を訴え、子供たちには暴力的なビデオゲームを使用する言論の自由は無いと主張してきた。同州は書簡の中で「The Punisher」(「プレーヤーは何本ものナイフを被害者の胸に突き刺すことができる」)や「Resident Evil: 4」(「チェーンソーで首をはねたり人間を串刺しにしたりする内容が含まれる」)といったゲームに含まれる暴力的要素に関する記述を織り交ぜ、メディアの中の暴力と子供たちの攻撃的な行動には因果関係があるとする医療および公衆衛生の専門家らのグループがまとめた研究結果を提出した。
控訴裁判所は、ミネソタ州は「暴力にさらされることと、その後の心理的機能障害との間に因果関係があるという明確な証拠を提示することができなかった」と結論付け、同州の憲法解釈を退けた。
「事実、聖書では多くの暴力的な場面が描かれている。マクベスの大逆罪など、適切な手本として取り上げるのが難しいものもある」と判事らは記している。「人によっては、州側が例としてあげた暴力場面と古典文学の暴力場面を比べるのはおかしいと言うかもしれない。しかし、そのような暴力は、米国憲法修正第1項の保護に値するわれわれ法廷によって判断されており、この件は成立する」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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